ANAが座席指定の「有料化」に踏み切った背景 主要航空会社の座席指定料金の実態を調査

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ルフトハンザドイツ航空
座席の事前指定(標準席)は35ユーロ。マイレージ上級会員は無料で下記の座席指定が可能。マイレージの特典航空券利用客も標準席の指定は無料。
非常口前:100ユーロ
機内前方:55ユーロ[プリファード・ゾーン]
ブリティッシュ・エアウェイズ
座席の事前指定(標準席)は30USドル。マイレージの上級会員やPlus Flex、Flexの利用者は無料で標準席の指定可(会員のカテゴリーや料金によって事前予約開始時期が異なる)。
非常口前:75USドル
2人がけ:45USドル
エールフランス航空
座席の事前指定(標準席)は25ユーロ。マイレージの上級会員は会員資格に応じて標準席と下記の席の指定が無料もしくは割引。
非常口前など:70ユーロ[シート・プラス](9時間以上の区間)
最前列:30ユーロ
機内後方など2人がけ:30ユーロ[デュオシート]
KLMオランダ航空
下記の座席指定は有料。マイレージ会員レベルに応じて無料~10%引きで指定可。
非常口前:[エクストラレッグルーム]
機内前方:[エコノミー・コンフォート]通常よりもシートピッチが約10cm広く、リクライニングの角度も深い。
機内後方の2人がけ席とエコノミー・コンフォート席のすぐ後ろ:[プリファードシート]
カンタス航空
座席の事前指定(標準席)3100円。セーバー運賃(スーパーカンガルー運賃)またはフレックス運賃での利用時やカンタス航空を含むワンワールド加盟各社、エミレーツ航空の上級会員とその同行者は無料で指定できる。
非常口前:7900円

以上から、現在でもあらゆる座席指定について料金を課さないのは、日本航空やカタール航空など、数少ない航空会社に限られていることがわかる。また、これらの航空会社においても現実的にはマイレージプログラムの上級会員でないと前方の条件のよい席は開放されておらず事実上予約できないケースが少なくない。

条件のよい座席に課金するのではなく、カンタス航空のように、すべての座席について、事前座席指定を有料にしている会社もある。また、ユナイテッド航空では、最も廉価なベーシックエコノミー運賃で予約した場合座席は自動的に割り当てられるうえ、その座席を変更できないというルールまで定められている。

いずれにしても、マイレージの上級会員ではなく、購入した航空券が安い場合、事前座席できる航空会社は減っている。

利用者はどうする?

では、今後どのように対策をすればよいのだろうか。これらの事前座席指定はあくまでチェックインをする前のものである。ほとんどの航空会社は、オンラインチェックインが開始になった時点で、どのような乗客も無料で座席指定が可能となる。そのため、オンラインチェックインが開始されるタイミングを待って座席指定をするというのが現実的な対処法といえるだろう。

オンラインチェックインができない航空会社や航空券であっても、当日空港でのチェックイン時にのみ指定できる座席もある。いわゆる「空港調整席」である。これはさまざまな状況に対応するため、有人のチェックインカウンターでしかアサインできない座席だが、チェックインの締め切り時刻が近づくと、現場の判断により、通常の乗客のリクエストに応じてアサイン可能になることが少なくない。

そのため、チェックイン時に隣席などがその時点で空席になっているかなどを確認しつつアサインすると、同じエコノミークラスのフライトでもより快適に過ごせる可能性が高くなる。

また、前方の座席のみが有料となることにより、後方はほとんど満席にもかかわらず、前方の座席はかなり空席がみられることもある。この場合、前方で乗り降りが早いといった理由ではなく、隣席に空席ができる可能性が高いことに期待して、あえて有料の席を事前に指定するという考え方もある。

もちろん満席に近ければ、この「賭け」に負けたことにはなるが、長距離のフライトで快適さを追求するのであれば、こうした「駆け引き」も念頭においてみてはいかがだろうか。

最後に今回のANAの座席指定で気になったことを記しておきたい。通路側と窓側に料金を課すようになると、これまでのように乗客の間で座席交換を持ちかけることがしづらくなるかもしれない。なにしろ通路側や窓側の乗客は「わざわざ」お金を払ってそれらの席をアサインしていた可能性があるからだ。

エコノミークラスは、もはやかつてのように均質な空間でなくなってきている。細かな条件によって料金が発生し、エコノミークラスのなかにも「格差」が生じている。その是非に議論はあるだろうが、その現状に利用者としてうまく対応していきたいものである。

橋賀 秀紀 トラベルジャーナリスト

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はしが・ひでき / Hideki Hashiga

東京都出身の50代。早稲田大学卒業。「3日休めれば海外」というルールを定め、ほぼ月1回の頻度で海外旅行に出かける。訪問国は130カ国。共著に『エアライン戦争』(宝島社)など。『週刊東洋経済』で「サラリーマン弾丸紀行」を連載した。Yahoo!ニュース エキスパート。記事の内容についてのお問い合わせ・取材の依頼などについてはこちらまで。

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