29歳でLINE最年少執行役員になった男の組織論 国籍も年齢も違うチームをどうまとめるか

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多様な人が所属する組織であればあるほど、細かい仕様書が合っているかより、まずは皆の目的が合っているかが第一。だから、ちゃんと目的をチーム全体に浸透させることは意識してやっていますし、マネジャーは現場の皆に“やっていただく”側だからこそ、動機付けは重要な仕事の一つだと考えています。

そして、「この人に言っても仕方ない」と現場から思われてしまったらマネジャーはおしまい。そうならないためにも、エンジニアから上がってきた声には早急に対応するようにしています。

すぐ解決できなくてもいいんです。まずは「動いてくれた」と感じてもらうことが大事。だからメンバーから「これ、何の意味があるんですか?」という話が出てきたら、その意義や目的が分かるときは個別に説明するし、僕も意味不明だなと思ったら、企画サイドにすぐ上げる。で、そのやりとりをキャプチャして、メンバーに「言っておいたよ」って報告するだけで、信用度が全然違ってくると思います。

チームづくりに画一的な方法は通用しない

おかげさまでLINEに入ってから刺激的なプロジェクトをいくつも経験させてもらいました。最近手掛けた中で特に大きかったのが、『LINE公式アカウント』のバックエンドをフルリニューアルするというプロジェクト。LINEでは異例の1年半にわたる長期プロジェクトで、QAだけで100人いるような大所帯だったんですけど。そこではもちろんコンテキストの共有をしっかりやりましたし、あとはスペックのフォーマットだったり報告の手順だったり、きちんとルールを整備することを意識しました。

多国籍の人たちと仕事をしていると、想定していなかったケースに見舞われることはしょっちゅうあります。それこそタイには「ソンクラーン」という旧正月のお祭りがあって、その期間はお休みしますとか。国王の事情で、公式アカウントのアイコンを急遽黒にして欲しいとか。日本の中だけで完結する仕事をしていたらハマることのない落とし穴にアタフタさせられることはよくあること。

でも、逆に言うと、国をまたいで働いているとスケールするんですよね。日本の中だけで仕事をしていたら、リソースも競合も日本だけ。でもグローバルな環境に身を置いていると、規模も視点も知見も広がる。リソースの制限もなくなるし、より大きなことができるチャンスが増えると思います。

それに、特殊なカルチャーの違いはあれど、そこを除けば日本人だけのチームで働くのも、多国籍チームで働くのも結局は同じ。一緒に仕事をしているのは人なんだから、画一的な方法で管理しようとするんじゃなく、一人一人の顔を見て、その人のクセに合わせるという点では何ら変わりません。オーソドックスだけど、それがダイバーシティーマネジメントの正攻法なんだと思います。

(取材・文/横川良明 撮影/赤松洋太)

二木祥平(にき しょうへい)さん/LINE株式会社 執行役員 1990年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートに入社。プロジェクトリーダーとして大規模Webシステムの運営や新規事業の立ち上げを経験した後、2015年7月、LINE株式会社へ入社。BtoB向けシステムの構築、『LINE Beacon』や『LINE Messaging API』の公開等に携わる。19年2月より現職

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『エンジニアtype』編集部

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