29歳でLINE最年少執行役員になった男の組織論 国籍も年齢も違うチームをどうまとめるか
仕事とは、人と人とでするもの。それは、今も変わらない僕の信条の一つです。それこそLINEに転職して、多国籍チームのマネジメントをするようになって、その考えはより強くなりました。
LINEではタイ、台湾、ベトナム、韓国といろんな国々のエンジニアと一緒に働きます。国も文化も異なる彼らと一緒に仕事をしてみて、相手がどんな人なのかを知ることの重要性を改めて実感しました。特に理解しておかなければいけないのは、 “モチベーションが上がるポイント”と“フリーゾーン”。何がきっかけとなってエンジニアのモチベーションが上がるかは、国ごとに全然違うと感じます。
例えば、前職で一緒に働いていたベトナム人のエンジニアは、肩書きが付くとモチベーションが上がる。給与はそこまで変わらなくても、「開発リーダー」という役職で仕事を任せると、一気にパフォーマンスが上がるケースがありました。“やる気スイッチ”がどこで入るのか見誤るとお互いが不幸。PMはフラットな目を持って相手に接し、理解することが必要です。
あとは、フリーゾーンの調節も大事です。エンジニアの中には仕様書がかっちりしていないと手を動かしたがらない人もいれば、細かいところは決めてほしくないという人もいます。
僕が一緒に仕事をしたベトナムのエンジニアは、もともと請け負いのカルチャーが強いのもあって、完璧な仕様書を求めるタイプでした。一方、LINEのエンジニアはフリーゾーンが小さいとやる気が出ない人が多い。相手がどっちのタイプなのかは人それぞれなので、そこをきちんと抑えておくのもマネジメントの重要なポイントだと考えています。
「コンテキストの共有」こそが、チームを率いる秘訣
そして、多国籍チームをまとめて実績を出すために一番重要なのは、ちゃんとコンテキストを共有すること。これは人種や世代に限らず、多様な人材が集まる組織すべてに共通して言えることですが、皆の思考レベルが合っていることって、すごく大事です。
企画側の人間から、「これをやってほしい」っていうオーダーがエンジニアにいきなり降ってくることってよくありませんか?でも、「何でこれをやらなきゃいけないの?」って思うことも多いと思います。やらなきゃいけない理由が分からないタスクをこなすことほどモチベーションが下がることはないし、それが積み重なれば現場が疲弊するのも当たり前。
そうならないように、僕は出来る限り情報の非対称性をなくすことを心掛けてきました。たとえ案件化するか分からなくても、ビジネスや企画サイドで動きがあれば、「こんな話があったよ」ってリアルタイムで開発にも共有しておく。あとは月1で今後のロードマップを共有する場も設けるようにもしています。
そうやって現在と未来のことを五月雨に共有しておくと、自然とエンジニアの方から「次この案件やらなくていいんですか?」って声が上がってくるし、「そのためにやってるなら、こういう機能があった方がいいですよね?」って追加提案も出てくる。結果、手戻りも少なくなるから効率的なんです。
組織内のコミュニケーショントラブルって、大体が認識のズレなんですよね。企画サイドの人間が何を考えているのか、その背景がちゃんと共有されていないと、開発者目線ではどうしても急な思い付きに見えてしまう。