10代に「SCHOOL OF LOCK!」が響きまくる理由 ラジオ離れの中で気を吐く人気番組の裏側
――当時、10代に向けた番組をつくることに、局内で反対の声はなかったのでしょうか?
それはもちろんありました。もう、最初はほとんどの方が賛同してくれなかったですよ。おまけに、メインMCのキャスティングも山崎樹範くんとマンボウやしろくんという、当時はあまり知られていない2人でしたから、なおさらですね。
それでも、賛同してくれた上司の方々がいて、どうにか番組を始めることができました。不安がなかったわけではありませんが、スタートから3カ月で同時間在京ラジオ局の中で聴取率が1位になるなど、大きな反響をいただくことができて、次第に局内でも番組の存在が認められていきました。
――そんな「SCHOOL OF LOCK!」は、文字通り学校の授業を模した構成が特徴的です。
ご存じの方も多いと思いますが、タイトルの元ネタは「スクール・オブ・ロック」というアメリカ映画です。ロックを愛する破天荒なミュージシャンが学校の先生に転身したいきさつを描いた作品で、僕はこの映画が大好きなんです。あの笑いあり涙ありの雰囲気をラジオ番組で再現できないかというのが最初の着想でした。
それに音楽は、ときに立派な教科書でもあって、僕自身も大切なことはたいてい音楽から学んだと実感しています。愛も勇気も平和も、ボブ・マーリーやジョン・レノンをはじめ、世界中のミュージシャンが歌ってきたことですからね。この要素は、10代向けの番組を作るなら、学校のイメージで作ろうと思った理由の一つですね。
――10代向けの番組と考えた時、具体的にはどのようなリスナー像をイメージされましたか。
ひとくちに10代といっても、100人いれば100通りの若者がいます。これほど趣味や嗜好(しこう)、価値観もばらばらな層をひとまとめにするのは、まず不可能だと思っていました。勉強好きな賢い子もいればやんちゃな子もいるし、ファッションに興味のある子、オタクタイプの子、音楽やスポーツに熱中している子など、本当にいろんな人間がいますからね。
でも、そういう10代が問答無用で1カ所に集められている場所を想像の中で探したら、「あ、教室があった」と。まずネットの中に「教室」を作って話し合いの場を設定すれば、みんなが話している内容を元に番組が作れます。逆に、番組がきっかけで現実の教室で話が盛り上がることだってあるだろうと思いましたね。