日本と台湾、「チョコ」が結ぶ長く深い意外な縁 「森永村」で日本人がカカオをつくっていた
森永がカカオ栽培に取り組んだ足跡は、いまも台湾に残っている。
台東の中心部から、車で1時間以上。静かな山あいに「森永村」がある。村でレストランを経営している住民は「昔、ここに日本の『森永』の工場と事務所があった。それが村の名前になったのだと、祖父から教わっています」と、話してくれた。
「森永村は、森永と総督府が協力して人を集めた集落で、社内資料によると、もともと200人ほどが住んでいて、カカオやコーヒー栽培のために住民を増やしたようです」(森永製菓の小野隆さん)
地元のカカオでチョコレートを作るブランドも
森永太一郎が台湾に渡ってから90年以上が過ぎた今、カカオの木は、しっかり台湾の大地に根を下ろしている。主要産地と比べればごくわずかだが、2019年は昨年を上回る収穫があった。
カカオの風味の個性を重視したBean to Bar(ビーントゥバー)チョコレートの流行で、台湾は目新しい産地として注目され始めている。2010年以降はカカオ農家が増え、地元のカカオでチョコレートを作るブランドもできた。
屏東産カカオからチョコレートを作る「福灣巧克力(Fu Wan Chocolate)」の敷地内には、カカオの木が育っている。カカオを使った料理を提供するレストランや、ホテルも併設し、昨年は日本から100人近い観光客が訪れた。台湾はアクセスしやすく、治安のよいカカオ栽培国なので、カカオを目的に、観光客が訪れる。
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