近年、携帯電話は母親達の心強いサポートツールとして、母親と密接な関係を作っています。携帯電話を片手に、小さい子どもと手をつなぐ母子の姿は当たり前の光景となりました。今回は、その携帯電話が母親の生活にどの程度、重要な存在になりつつあるのか、日々の生活で母親達がどのように携帯電話を使いこなしているのかを、前回ご説明した母親タイプ別の分析も交えてご紹介したいと思います。

●母親ならではの携帯電話の使い方

　新しいもの好きなミーハー・ママと金銭的に余裕のあるセレブ・ママを筆頭に、携帯電話の各種機能の利用頻度が高いことが分析結果として判りました。母親全体で利用されている機能を高い順に挙げると、1位カメラ（65％）、2位アラーム機能（52％）、3位計算機（47％）です。（参照グラフ：「よく使う携帯電話の機能」）母親に限らず他のセグメントでもこの順位は変わらないかもしれませんが、その使い方には違いがありそうです。例えば「アラーム機能は幼稚園のお迎えや小学生の子どもが帰宅する30分前にセットする」、「子どもの塾の待ち時間にワンセグでドラマを見ている」という母親達のコメントからうかがえるように、子どもに支配されている自分の時間を効率的に滞りなく使う為のサポートツールとなっているケースがあります。また、天気予報のチェックが4位（27％）にあがっているのも特徴的です。天気によって、子どもに持たせる荷物や子どもを遊びに連れて行く場所、交通手段、外出、帰宅時間等が全く変わってきます。その為、地域を限定した天気情報を数時間おきにチェックしている母親も少なく

●お得なクーポン、お手軽懸賞

　4人に1人以上の母親が、携帯電話からのキャンペーンへの応募、クーポン利用経験があると答えています。母親タイプ別にその経験率をみると、情報に敏感で買い物好きなミーハー・ママが最も高い割合となっています。映画の試写会や旅行など、当たらなくても、とりあえず携帯でアクセスするだけなら応募してみよう、というお手軽感が魅力なのでしょう。ちなみに母親達の携帯電話でのメールマガジン受信数は一日平均約3通。特に定期的にクーポンが送られてくるマクドナルドには、携帯メールマガジンを受信する母親の40％近くが登録しています。クーポンによってマクドナルドに行く頻度も増えたという声も挙がっていました。お得な情報を探している母親達は実に多く存在します。いかに母親達にお得感を抱かせ、自分が賢い消費者だと思わせるかがポイントでしょう。

●母親達に人気のPC・携帯サイト＊

　よく利用するサイトを目的別に、あえて選択肢を設けずに自由回答で聞いたところ、母親達が訪れるサイトはPCと携帯電話共に各分野1位のサイトに人気が集中する結果が出ています。育児・教育分野のトップは「ベネッセ・ウィメンズパーク」（PCサイト30％、携帯サイト54％）、料理、レシピ分野では、「クックパッド」（PCサイト21％、携帯サイト20％）です。いずれも、ユーザーが自由に受発信できる日本最大級規模のコミュニティ・サイトで運営者の適切な管理によって良質な情報が得られることから、母親達に強く指示されているようです。サイト利用者をタイプ別で見ると、やりくりママが圧倒的に多くセレブ・ママが少ないという結果が出ています。効率的になるべくお金をかけずに有益な情報を得たいという気持ちが表われているのかもしれません。また、携帯サイトへアクセスすることへのバリアも近年かなり低下してきているようです。

●携帯と今後の母親ディマンド

　わずかこの数年の間に、携帯電話は多くの母親達にとって、なくてはならない存在になりました。通話やメールだけでなく、ママ同士のランチで使うクーポン、幼稚園・小学校の連絡網、夕食のレシピ、近所の不審者情報、スケジュール管理等、携帯電話によって、有益な情報収集ができる事、効率的に時間を過ごす事が可能となりました。今後も携帯電話への依存度はますます高くなることが予想されます。ある母親が「携帯電話はPCを持ち歩く感覚に似てきている」と言っていましたが、まさにPCの役割を携帯電話の機能が担いつつあることで、更に使いやすいツールと化しているのでしょう。いかに子ども中心の母親の生活を理解し、密着できるか。母親達が興味を抱くような情報をタイムリーに配信し、育児や家事をサポートできる携帯電話の機能やサービス面を考え出せるか。母親のディマンドに繋がるものは、まだまだ多くありそうです。

＊母親達の人気サイト％の注記：PCサイトの％は母親全体を母数とし、携帯サイトの％は回答者を母数として算出。

＜母親がよく使う携帯電話の機能＞