「ミンティア」を支持する人が急速に増えた事情 小売りの店頭で目立つタブレット菓子の魅力

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「かつては売り場のレジ前・ゴールデンゾーンは、上から『ガム』『錠菓』『キャンディ』の順でした。それが『錠菓』『ガム』『キャンディ』となり、約5年前から『グミ』『錠菓』『ガム』の順。特にフックがけのグミが存在感を増しています」(大津氏)

グミが存在感を増す、コンビニのレジ前売り場(筆者撮影)

この傾向が目立つのが、セブン-イレブンを筆頭にしたコンビニだ。実際に売り場に行くと「果汁グミ」(明治)や「フェットチーネグミ」(ブルボン)などの小袋(約50g)が幅をきかせる。後者はイメージキャラクターに「乃木坂46」を起用した訴求も行う。

グミの原材料は、水あめ、砂糖、果汁、ゼラチンなどで一定の腹持ちもする。消費者の「小腹需要」としては、錠菓の大粒よりも優位にあるようだ。「果汁グミは時々買って保管しています」(診療所勤務の女性)という声も聞いた。

「口に入れる菓子」(業界のくくりでは「ガム・キャンディ類」)の中では「グミ」と「錠菓」は成長商材で、約300億円の市場規模も拮抗するが、消費者像は少し異なる。

「錠菓全体のコアユーザーは40代。ミンティアの場合も、レギュラー・ブリーズともに40代が中心。男女比はほぼ半数、金額ベースでは6:4となっています」(大津氏)

「どんどん変化する消費者」との向き合い方

マーケティングの世界では「消費者はどんどん変化する」といわれ、各現場はそれを念頭に置いた商品開発も行う。現在は好調の「錠菓」だが、“ガム離れ”のような現象が起きないとはいえない。「ミンティア」は消費者とどう向き合っているのか。

「毎年、約2000人の『嗜好調査』を行います。首都圏各地の街頭で声をかけた10代から60代の男性・女性に、パッケージを提示しないで味の好みや感想を聞くものです」(大津氏)

例えば、小粒の調査結果は、味感では「刺激・辛さが強い」、ベネフィットは「眠気を覚ませる」、食シーンでは「眠いとき」が首位だった。逆に大粒は、(味感)「フルーツの味がおいしい」、(ベネフィット)「癒やされた気持ちになる」、(食シーン)「ドライブ・運転中」だった。これらも新発売・リニューアル発売時の味覚の参考にする。

ちなみに元気なお年寄りも増えているが、70代を調査対象としないのは、「70代以上はガム世代で、錠菓との親和性が薄い」のだという。

売り上げ的には絶好調の「ミンティア」だが、大津氏は警戒の手を緩めない。

「タブレット菓子も万全ではなく、炭酸水やお茶、機能性チョコなど、仕事中に口に入れるあらゆる食品に取って代わられる可能性もあります。常にアンテナを張り巡らせながら対応していきます」

前述した、仕事中の「ながらリフレッシュ」だけでもライバルは多い。例えばゼリー飲料やエナジードリンクもあるが、錠菓やグミには価格優位性がある。手に取ってもらえるパッケージデザイン、携帯性も含めた戦いが繰り広げられている。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

 

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