フラット35「不正利用」した人はどうなるのか 投資用と判断するのは難しいケースも

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しかし、一度住宅ローンを借りてしまえば、後でマイホームかどうか確認されることはありません。そのため、住宅ローンを借りる際は住民票を移しておいて、実際は自分では住まずに賃貸に出すという事が可能です。フラット35は70万戸のマイホームに利用されていますが、実際に不正利用されたかどうかは全件チェックしなければわからないでしょう。

こうした中、真っ先に不正利用が疑われる可能性があるのは、不動産の住所と現住所が異なる人です。これは、転勤や諸事情で引っ越した人も含まれます。なぜかというと、引っ越す理由を証明できるものはないからです。

転勤や引っ越しでやむなく引っ越した場合は

もともと購入したマイホームに住むつもりがなく、当初から賃貸にする予定であれば、住宅ローン契約の時点から虚偽の申告をしており、不正だったことになります。フラット35の申込書には、住宅取得の理由を記載する欄がありますので、虚偽記載を行ったという事は契約自体が成り立たないことを意味します。

一方、転勤でやむなく引っ越し、空いた自宅を賃貸に出した場合はどうでしょうか。現状では、民間の住宅ローンでは、転勤の場合は正当な理由であると判断されて、賃貸に出されても不正な住宅ローンの利用とは見なされることはないと考えられます。実務的には、貸方が定期借家契約であれば、戻る気があると見えますし、普通借家契約であれば戻る気はなく、住宅ローンの利用目的が、転勤による引っ越しを境に不動産投資に変更になったと見ることができます。

介護など家庭の事情で引っ越さざるをえない人もいるでしょう。騒音や近隣トラブルで引っ越さざるをえない人もいるでしょう。しかし、こうしたやむをえない事情の人たちも、理由が証明できませんから、不本意ながらも疑われることになりかねません。

そもそもなぜ今回のような住宅ローンの不正利用が存在したのかを考えると、手続きの隙間を突かれたという以外にありません。まず、不動産会社は家を売らなければ仕事になりませんが、最初から投資目的でマイホーム取得を提案する人たちが一定数おり、制度の抜け穴を利用して、住宅ローンを活用して不動産を購入していたということです。

不動産関係者も、金融機関も、ファイナンシャルプランナー(FP)も誰も驚いていないはずです。むしろ、「やっぱりダメだったんだ」という受け止め方が大勢ではないでしょうか。ただ、住宅ローンを実際に借りている人からすれば、ただ事ではありません。

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