お金持ちだけが集う「VIP会員クラブ」のリアル 日本で全然足りない「最上級サービス」とは?
このようなメンバーシップは、日本人にはあまりなじみがないかもしれません。日本では東京アメリカンクラブ、横浜カントリークラブ、神戸倶楽部など限られているからです。
運営側からすれば、単体でのレストラン経営と違って固定収入が入るというメリットもあります。また、類は友を呼ぶということわざもあるように、顧客からの紹介を得られやすい仕組みになっているので、新たな個人富裕層を顧客獲得する方法としても効率的なのです。
世界の富裕層から辛口評価を受ける日本の金融機関
日本で、こうした最上級のサービスが足りない業種が金融だと思います。シンガポールでは、金融機関も顧客の預金額に応じて、提供するサービスの「質」を変えています。金融機関自体が「リテールバンク」「プレミアムバンク」「プライベートバンク」などと分かれていて、またサービスも「エコノミークラス」「ビジネスクラス」「ファーストクラス」のように分かれ、それぞれ質が異なります。
プレミアムバンクではラウンジが利用でき、待ち時間にコーヒーやお菓子のサービスを受けることもできます。金融機関に用もないのに利用している人も少なくありません。シンガポールでは、ローカルバンクでもキャッシュカードを世界中で利用できるようにしたり、複数の通貨を入れることができるマルチマネー口座にしたりすることもできます。為替両替手数料も日本の銀行と比較すると圧倒的に優位性があります。
プライベートバンクでは、経験豊富な担当者がつき、資産運用のサービスを受けることができます。日本やシンガポールのリテールバンクによくありがちな回転売買を促すような取引ではなく、バンカーは顧客の資産を増やしたり、家族の繁栄を目指したりするお手伝いをします。
手数料は「カストディー・フィー」という保護預りの料金と「トランザクション・フィー」という売買手数料から成ります。運用をせずに預金だけしておくと、預金金利や保護預かりフィーによってはマイナス金利になることもありうるのです。ただし、外国債券などで運用をしていれば、通常はプラスになります。
日本の銀行は、どこもほぼ同じサービスを提供していますが、収益構造から変えていかないと差別化できないのかもしれません。日本では銀行のリストラをめぐる記事が目立ちますが、逆にシンガポールの多くの金融機関はプライベートバンカーの数を増やしています。
比較の仕方はいろいろあるかもしれませんが、ジム・ロジャース氏のようなシンガポールに暮らす富裕層の多くも「日本の金融機関は外国人に対し口座開設の基準などが厳しい」と辛口評価をしています。
為替手数料の高さ、海外送金のややこしさなども、グローバル基準のサービスだとは言いがたいです。一度、シンガポールのプレミアムバンクなどのサービスを体感すると、元に戻ることはできないと思わされます。つまり、日本は潜在能力がありながらもサービスが追いついていないので、富裕層を取りこぼしていると言えるのです。
富裕層サービスを学ぶには、会員制クラブやプライベートバンクから学ぶしかないと、私は会費などの身銭を切り自分で体感して、世界中の人々が利用するグローバルスタンダードなおもてなしを学ぶようにしています。これから富裕層向けのサービスを行うことを考えているのなら、一度海外に出て、そのサービスを学ぶのも手だと思います。
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