石油・石炭依存から脱却図る大手108社の本音

脱炭素の動向を独自調査、政府目標に厳しい声

電力会社に期待することについては、「電気料金の引き下げ」や「電力の品質確保や安定供給」を押しのけて、「CO2排出係数(電気の供給1kWhあたりどれだけのCO2を排出しているか)の低い電力の供給」がトップに立った。「再エネ100%の電力供給」も回答企業の6割超が期待している。

こうした回答状況について、再エネの動向に詳しい髙村ゆかり・東京大学教授は、「日本の大手企業の脱炭素化への意識の変貌ぶりに驚いた。とりわけ多くの企業が再エネに関心を持ち、調達の取り組みを進めていることがわかった」と語る。

再エネ電力の中長期的な調達目標は?

CO2排出係数の低い電力会社への契約切り替えの有無についても、「ある」および「検討中」を合わせると5割強を占める。再エネ電力の中長期的な調達目標についても同様に、「ある」および「策定中または検討中」が5割に達している。

富士フイルムホールディングスは再エネへのシフトを進めている代表例だ。同社は今年1月に再エネ由来電力の調達目標を設定。2030年度に購入電力量の50%を、2050年度にはすべての電力を再エネ由来に切り替える。さらに自家発電システムに用いる燃料を水素燃料に転換するなど新技術を導入し、熱を含めてすべてのエネルギーでCO2排出をゼロにする。

これらの方針を内外に明示するため富士フイルムは、再エネ電力100%への切り替えを公約した企業の連合体であるRE100への加盟を4月25日に公表した。

花王も再エネ調達に大きく舵を切った。同社は昨年、ESG(環境・社会・企業統治)に関する専門部署を新設するとともに、欧州などに続いて国内でも再エネ由来の電力の調達を拡大している。その柱が、工場の屋根などへの太陽光パネルの設置、水力発電などの再エネ電力の購入、そして「非化石証書」の活用だ。購入した電力と証書を併用することでCO2排出ゼロと見なされる。

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