部下の「元気が最近ない」と感じたときの対処 プライベートと仕事を切り離すことは難しい
「職場は職場」と割り切って、「プライベートの問題は職場に持ち込ませない」と線引きできるかというと、そういうわけにもいきません。プライベートと仕事を完全に切り離して考えることは現実にはできないからです。「上司はいい人で、仕事も楽しくて、満足できる会社だけど、介護のことがあるから辞めなくちゃいけないんだ」といった話は、私の周囲でも珍しくありません。
社員のプライベートにおける重要な問題に対し、会社や上司はどう対応していけばいいのか。この問題は本当に難しいと思います。
「理解されている」という感覚は安心感につながる
しかし、「職場の人に詮索や干渉はされたくないけど、こちらにも事情があるということはわかっていてほしい」というのが多くの社員の本音ではないでしょうか。
「理解されている」、そして「いざというときは頼ることができる」という感覚は、大きな安心感につながります。
例えば、「お父さんが病気で、仕事が手につかないほど心配だ」というのは、プライベートな情報かもしれません。けれども、そういう事情を上司が事前に理解していたなら、しばらくは早く帰れるように仕事量を調整する、なにかあったときは日中でも仕事を抜けられるように責任を分担する、などの配慮ができるはずです。
また、このような直接的配慮だけでなく、「ただ話を聞く」というだけでもものすごく大きな意味を持つということを知っておいていただきたいと思います。
それは、いわゆるコーチング単体の領域ではなく、カウンセリングも組み合わせた領域かもしれません。コーチングで行うのは、「そのような事情について、冷静になって課題を明確化し、どうやって対処していくか一緒に考えましょう」といったアプローチが中心です。それはそれで励ましになり、助けになる人もいます。
ただし、本当に追い込まれているときというのは、「ただひたすらに話を聞いてくれた」というカウンセリング的なアプローチから、次のステップへの力を得られることが多いのです。
これを行うのは、管理職や直属の上司だけでなく、隣の部署の上司や社内メンター、同僚、あるいは部下でもかまいません。具体的な行動や援助などではなく、ただ傾聴し、事情を理解して共感する、ということだけでも、大きな助けとなるのです。
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