「壊滅的にできない子」を引き上げる意外な方法

「つまずいた部分にさかのぼる」は正しいか

これが算数を敬遠し、やがて数学ができなくなっていく原因であると考えられます。これは言い換えると、「算数に関しての肯定感が下げられた」ともいえるのです。言葉によって人を伸ばすこともできれば、潰すこともできるのです。

言葉はそれほど強烈なインパクトを与えるのですが、厄介なことに、何気なく、無意識に言葉を発することが少なくないため、感受性の強い子でなくとも、扱われ方によって変わってしまうことがあります。

このように“下げられてしまった”算数・数学に対する肯定感をどうやって引き上げていけばいいでしょうか。

つまずいている部分を何度演習しても改善しない背景

通常、行われる方法として一般的なのは、「つまずいている部分までさかのぼり、そこから指導する」ということです。例えば、中1の数学でつまずいているとしましょう。この子はどこでつまずいているかを調べていきます。すると、小5の小数同士の計算でつまずいているとします。原因がここであるとわかり、小数同士の計算問題から教えていきます。

このやり方、つまり「つまずいているところから指導すること」で伸びていく子もいないとは言いませんが、実は多くの場合、この方法では伸びていきません。

「つまずいている部分、できない部分から指導する」

これをやっているから、いつまでも伸びないのだと筆者は考えます。理由があります。

算数・数学ができない子は、算数・数学に対して強いマイナス感情を持っています。そのような状態の子に、前の学年までさかのぼって指導すると、「できない部分をやること自体が苦痛」になるのです。「あなたはできない子だから、こんな前までさかのぼっている」という暗示を与えかねないため、できない部分から行うと、一層、自己肯定感を下げたり、できない自分像をさらに強固に作り上げる結果にもなりかねません。

よく行われている「補習」というのがいい例です。ピンポイントである部分だけできない場合やヒントやきっかけを与えるだけで、できるようになる程度であれば補習は効果を発揮しますが、そもそも根本的にできない子の場合は、つまずいている学年や単元までさかのぼり、そのつまずいている部分を何度も演習しても、まったく改善しないというのは、こういう背景があるのです。

つまり、補習をやればやるだけ、「あなたはできない子だから、こんな前の学年からやっているんだよ」というメッセージを与えてしまうのです。

次ページでは、どうしたらいいか?
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