――ではどのくらい稼げば「資格」があることになります?
沈:最低でも年間100万元(1元=約17円)以上の安定した収入が、何年にもわたってある状態でしょうね。それがかなわないのであれば、趣味の方向をちょっと変えて、せいぜいチベットを車で旅行するとか。これなら奥さんも反対はしません。僕はそのくらいでもまあいいかと思います。
――それにしても、日本人男性はたとえ金持ちになっても、そこまでこぞって愛人に走ったりはしない気がするのですが……。
友人夫:男はどこの国でも多かれ少なかれ同じだよ。
沈:クリントンだって愛人、囲っていたし。
友人妻:でも欧米や日本は、金持ちの趣味がもう少し多様化していると思う。権力と財力を持ったら、皆が皆、愛人ではないでしょう。
沈:中国人が金持ちになったのは、ごく最近のことです。改革開放以降、中国は大きく変わりましたが、本当に変わったと思うのはここ10年ほどのことです。たとえば不動産でも2003~04年に買った家はみなものすごく値上がりしました。数十万元で買った家が10年で15倍、30倍になるなんて誰が想像できたでしょう。
僕が小さい頃は、卵だって毎日、食べられるものではありませんでした。小学校を卒業する頃になってようやく食料が豊かになってきたくらいです。だから突然、金持ちになって、余裕ができて、家を買い、車を買い、遊ぼうと思っても、どう遊んでよいかわかりません。
友人夫:そういえば沈さんも知っている趙さん、彼なんか儲かって儲かって、お前大丈夫かってくらい遊んでいたけれど、やっていることはカラオケ。
沈:そうそう、毎日カラオケ。とにかくカラオケ大好き!
――中国のカラオケは日本のキャバクラみたいなものですからね。奥さん的にはどうなんでしょう。
友人夫:奥さんは見て見ぬふりで、それはそれでしっかりした家庭なんだよ。
沈:金持ちが愛人を持つのは、感情の問題ではなく、メンツの問題だからです。
友人妻:BMW買うのと一緒。
沈:そうそう。
友人夫:そういえばその趙さん、北京市内の300平方メートルの家を、3000万元のキャッシュで買ったと言っていた。日本円だと5億円くらいになる。投機だから自分は住まないし、広すぎて借り手もつかないので、「住みませんか」と言われた。
友人妻:あら、ならわれわれが2000元くらいで借りたらいいんじゃない。
――5億円の家の家賃が月3万円……。その趙さんは、何をしている人なのですか?
友人夫:元は国営企業の社員だったけれど、今では国営企業の子会社の社長。
――それで5億円の家が買えるんですか?
友人夫:会社のカネかもしれない。あるいはきれいなカネじゃないとか。そういうことは多いから。
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