福島除染に巣喰う、ホームレス取引と反社勢力

暴力団関係者の存在

実態不明な除染業者も

福島の除染作業には今も多額の税金が継続的に投入されている。しかし、それがどう使われているのか、実態は不透明のままだ。大きな理由の1つは、大手企業を頂点にして広がる何層もの下請け構造の存在にある。複雑な請負契約を結びながら、末端の零細業者もふくめて、除染事業には膨大な数の企業が関わっている。

実際に除染事業を手がけている業者数は公表されていない。しかし、ロイターが情報公開法に基づき昨年8月に環境省から入手した資料を調べた結果、もっとも汚染がひどい10市町村とその地域を通る常磐自動車道沿いで、733企業が除染作業にあたっていることがわかった。

公共事業への参加には国土交通省の建設業者審査で承認される必要があるが、それらの地域で除染に関わっている56の下請け業者は、そのリストに名前がないことも明らかになった。

除染や廃棄物処理を推進する法的措置として、2011年8月30日に議員立法による「放射性物質汚染対処特措法」が公布され、12年1月1日から施行されている。しかし、厚生労働省によると、この法律は、除染作業などを行う業者の登録や審査を義務付けておらず、誰でも一夜にして下請け業者になることが可能だ。

さらに、福島県内のもっとも汚染がひどい地域での作業契約は環境省から作業員1人に対し1日1万円の危険手当が支払われるため、不法な派遣ビジネスを誘引しかねない状況にあるとも言える。

ロイターの調査では、環境省が業務を発注している企業のうち、5社については総務省での法人登録が確認できず、公表されている電話番号もウェブサイトもないうえ、所有者を示す基本的な企業情報も見つからなかった。信用情報機関である帝国データバンクにも、これらの企業の実態を示す記録は存在していない。

「一般企業として稼動していたのか、休眠会社なのか。その代表や取締役の経歴にも注目すべきだ」と帝国データバンク東京支社情報部の阿部成伸は企業実態の慎重な調査の必要性を指摘する。

だが、除染作業に関与している無数の中小、零細企業がどのように人材を調達し、業務の安全性や安定性をどう確保しているか、その監視や責任体制が徹底しているとは言いがたいのが現状だ。

主務官庁である環境省は、「労働関係の機関や警察と連絡しながら必要に応じてチェックしているが、元請け業者が除染工事という目的を達成するために、目的に沿った体制を責任をもって完了するというのが基本的な考え方」(水・大気環境局除染チーム、工藤喜史課長補佐)と話す。つまり、現場での作業管理は鹿島<1812.T>、大成建設<1801.T>、清水建設<1803.T>などの元請け企業に任されているわけだ。

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