人間関係を円滑にする「ちょうどいい」気づかい おせっかいや余計なお世話にならない方法

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以前、視察目的で上司と社員数名でハワイに行ったときのことです。当時の上司は外国人で、あとのスタッフはみんな日本人でした。夜になってビュッフェ形式の食事をとることになったのですが、ある男性社員が上司のためにありとあらゆるものを持ってきます。

お肉、野菜、ご飯、フルーツ……その人としては最大限の気づかいだったと思うのですが、肝心の上司は「これ食べないといけないのかな……?」と、すこし迷惑な様子でした。

というのも、上司はその日体調があまり優れず、重たい食事をあまりしたくなかったようなのです。さらに、「ビュッフェスタイルだから、自分で好きなものを選んで食べたい」という思いもあったようでした。ただ上司も、「部下の厚意を無下にするわけにもいかない」と、結局もらったプレートを食べていました。

したたかさが伝わってしまう

その社員の方が一生懸命気をきかせたのはわかりますが、気づかいの方向性が違っていたのかもしれません。すると、せっかくの気づかいも「余計なお世話」や「いらぬおせっかい」になってしまいます。このように、気づかいがうまくいかず空回りしてしまうのには、動機によるところがいちばん大きいと思います。

もし「相手に嫌われないようにしよう」「好かれよう」「親切だと思われたい」というような動機であれば、それは、相手本位ではなく自分本位の姿勢です。相手のことではなく、自分のことをいちばんに考えてしまっているのです。「この人に喜んでもらいたい」という動機のない気づかいからは、なんとなくいやらしさやしたたかさが伝わってしまうものです。

こういったケースでよく見るのは、本や雑誌などで得た紋切り型の「テクニック」です。例えば、「大勢での飲み会などでは、料理は最初の1回だけ取り分ける」「名刺交換などでは相手の名前や会社名を復唱する」などです。たしかにこれらも大事だと思います。しかし、それ以上に大事なのは、その時々の相手の気持ちや場の空気です。

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ノウハウやテクニックは、それだけ覚えても意味がありません。通用する人や場面もあるでしょう。ですが、逆にまったく通用しない場合もあるのです。気づかいが空回りしてしまう人は、次のことを考えてみてください。

「本当にその行動は相手にとって必要、または適切か?」

自分の行動に対して「ありがとう」という言葉がほしいと思うのは、いけないことではありません。しかし、それを過剰に期待すべきでもありません。最初から結果を求めるのではなく、「やっていくうちに結果がついてくる」と、肩肘を張らず、気楽に、自然に行う気づかいこそが、だんだんと感謝、好感を生んでいくのです。

本稿のポイントをまとめると、以下のようになります。

1. 言葉だけでなく、小さな行動を起こす
2. 相手のことをよく見て、想像力を働かせる
3. 気づかいはタイミングが命
4. 気づかいは本来、相手のためのもの

以上のことを意識して、ぜひ相手に喜んでもらえる気づかいをしてみましょう。

能町 光香 リンク代表取締役/日本秘書アカデミー代表

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のうまち みつか / Mitsuka Noumachi

京都在住。青山学院大学、京都造形芸術大、The University of Queensland大学院卒業。10年間のエグゼクティブ秘書の経験を生かし、「気づかい」の重要性を伝える活動に従事する。21万部のベストセラーとなった『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』(クロスメディア・パブリッシング)は、中国語、韓国語にも翻訳される。

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