コンビニオーナーがここまで苦しんでいる理由 FCとドミナント戦略のあり方が問われている
ランチェスター戦略は、トヨタ自動車やパナソニック、日本生命、ソフトバンク、エイチアイエスといった企業も採用して成功したことで知られており、ランチェスター方式は日本の販売戦略、企業戦略上のバイブル的な存在と言っていいかもしれない。
そういう意味で言えば、コンビニの“老舗”であるセブン-イレブンが、ランチェスター戦略の延長線上にあるドミナント戦略を採用したのも当然といえるかもしれない。
「ドミナント戦略」のメリット、デメリット
さて、典型的なドミナント戦略として知られているのは、実はセブン-イレブンよりもコーヒーショップの「スターバックス」だ。47都道府県で唯一、スタバがなかった鳥取県にスタバが出店したのは2015年夏のこと。ニュースにもなった。
都心の一部の地域に集中的に3店舗、4店舗という具合にスタバがある光景はよく知られているが、スターバックスに近いドミナント戦略を使う小売店や飲食店もよく見かける。セブン-イレブンもその1つだったわけだ。
スターバックスといえば、アメリカのシアトルから出発したエスプレッソコーヒーの専門店だが、特定の地域に集中的に出店することで知られ、顧客の奪い合いにはならずブランドの浸透に成功した。経営資源の効率的な活用方法として世界中に拡大した。
そもそもこのドミナント戦略のメリット、デメリットとは何なのだろうか。簡単にまとめると次のようになる。
① 効果的な出店計画
② 知名度向上、広告宣伝費の削減
③ 人材の確保が容易になる
④ 物流コストの削減
⑤ 店舗運営コストの削減
⑥ 他店の新規参入を阻む
1. 災害リスクや人口減少リスクが集中する
2. 代替品、ライバル店出現への対応が難しくなる
3. 他エリアへの展開が遅くなる
4. 同じ顧客を奪い合うリスクがある
5. 店舗ごとの利益の減少
まずはメリットだが、特定の地域に出店を集中させるため、顧客の特徴や傾向といったマーケティングをする手間が省け、効率的な出店計画が展開できる。さらに、同一の地域に同じ店舗が数多く出店するため、街を歩く人たちはつねにその店の存在に気づかされ、知名度は向上し広告宣伝費なども削減することができる。
店舗が集中すれば物流コストが大きく節約でき、店舗運営全体のコストも減少させることが可能になってくる。人手不足対策も、近くの他店から回してもらえるため採用が楽になる。人手不足時代には大きなメリットになるはずだ。
ライバルとなる「他店」の進出を抑止することも可能だ。また、フランチャイズチェーンの場合、フランチャイザーである「本部」の中央管理コストを低く抑えることができるというメリットが大きい。
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