「社員の思いつき」を否定する会社がマズイ理由 「空気を読まない一言」が組織を活性化させる

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僕のお願いは、普通だったら「スムージーはご用意できません」と断られておしまいです。店員さんのお仕事としては、ただ断っても、何も間違いではない。

でも、この店員さんのように、お客さんが何を求めているのか、なぜスムージーを飲みたいと言っているのか、ということをひと呼吸置いて考えてみる。「スムージーを飲みたいということは、野菜を取りたいんじゃないかな? さっぱりした味で、野菜をたくさん取りたくて……」と考えることで、

「サラダをすすめる」という、まったく別の角度の答えが見つかったわけです。

もちろん、スムージーが欲しいというお客さんに、野菜サラダをすすめることが喜ばれるかはわかりません。「サラダなんかいらないよ」と言われてしまうかもしれないし、シェフや先輩に「勝手なことまで答えるな」と注意されるかもしれません。

でも、少なくとも自分なりにお客さんの要望を受け止めて、工夫して、解決策を考えることは、その人の成長や自信につながることは間違いないでしょう。

僕はこの店員さんのご提案に従って、サラダを注文しました。レモンのかかった、やや苦味のあるサラダは、そのときの僕の体調にマッチして非常においしかったです。

生活の中に「リズム」を取り入れよう

「思いつき」を気軽に口にできる自分になるのは、習慣の力も大切です。そのことで思い出すのが、作曲家の久石譲さんからお聞きしたお話です。

久石さんは、だいたい3カ月周期で、毎日同じ練習曲を弾かれるのだそうです。それはある種の「儀式」のようなものなのですが、それをやらないと、数々のあのすばらしいメロディを創作する準備が整わないということなのだと思います。

久石さんといえば、映画『千と千尋の神隠し』など、ジブリアニメのテーマソングで有名ですが、映画音楽をはじめとして数えきれないぐらい多くの作品を生み出されている、超一流のクリエイターです。そういう人がアイデアを思いつくために、ある種の「習慣的な儀式」を大切にされているということに、私は強い印象を受けました。

「儀式」というと大げさかもしれませんが、大事なことは「毎日」「一定の何か」を繰り返す、ということです。ジョギングでもいいし、水浴びでもいいし、ヨガでもいい。とにかく毎日繰り返す。そうすると、生活の中にリズムが生まれてくる。

そうやって生活のなかにある種の「リズム」ができると、自分でもあずかり知らない「どこか」からアイデアが降りてくる。「思いつき」が降りてきやすくなるのだというのが、僕の考えです。

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