萩生田氏「消費増税延期もありうる」発言の波紋 7月28日同日選へ吹き始めた「にわか解散風」
もちろん、首相にとって衆参同日選断行は「のるかそるかの大ばくちになる」(首相経験者)のは間違いない。「参院選単独なら政権への中間評価だが、同日選なら政権選択選挙になる」(細田派幹部)からだ。過去2回の同日選と同様、衆参で自民が勝てば「安倍4選による超長期政権も現実味を帯びる」(同)が、負ければ首相退陣の危機に陥りかねない。
21日に終わる統一地方選は「全般的に自民堅調で野党は弱い」(自民選対)のが実態だ。しかし、21日投開票の衆院大阪12区、同沖縄3区の補欠選挙は「大阪は維新、沖縄はオール沖縄が優勢」(自民幹部)とされ、第2次安倍政権では例のない自民の「ダブル敗北」の可能性が強まっている。加えて、桜田義孝五輪担当相や塚田一郎国土交通副大臣の失言による辞任も政権への打撃となっている。
会期末にらみ与野党入り乱れた神経戦に
安倍首相らは、統一選後の天皇陛下退位・新天皇即位という歴史的皇室行事やそれに伴う「令和」への改元を滞りなく進められれば、「お祭りムードで内閣の不祥事は国民の意識から消え、内閣支持率も下がらない」(官邸筋)と余裕を見せる。
その一方、与党内には「安倍政権のおごりとゆるみが止まらなければ、選挙は厳しくなる」(自民選対)との不安もあり、「あからさまに1強維持を狙った同日選となれば、国民の反安倍感情が拡大しかねない」(自民長老)との厳しい見方もある。
増税延期についても与党内の財政再建派は「そんなことをしたら、首相は嘘つきの烙印を押され、政界は大混乱に陥る」(自民税調幹部)と指摘。財務省幹部も「今回増税できなければ、日本の未来はない」と顔をしかめる。首相の盟友を自認する麻生財務相や岸田文雄政調会長も増税延期に反対する立場を明確にしており、安倍首相が延期に踏み切れば政権を支える自民実力者も敵に回しかねない。
自民党内には「首相側近を気取って勝手なことを言うのはけしからん」(3役経験者)との声もあり、萩生田氏も18日夜には「首相から指示を受けて発言したわけではない。(首相らに)迷惑をかけて申し訳ない」と肩をすくめたとされ、19日も終日、釈明に追われた。ただ、これまでの同氏の言動からみても「首相の意向を忖度しての観測気球」(岸田派幹部)との臆測は消えず、首相らが否定したとしても、会期末に向けて与野党入り乱れての神経戦が続くのは間違いなさそうだ。
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