萩生田氏「消費増税延期もありうる」発言の波紋

7月28日同日選へ吹き始めた「にわか解散風」

2017年10月22日の衆院選開票で、当選確実となった自身の名前に花をつける萩生田光一幹事長代行(右)と安倍晋三首相(写真:時事通信)

とうとうというかやはりと言うべきか、安倍晋三首相の側近が今年10月からの消費税率引き上げの延期に言及した。しかも、その場合には衆院解散・総選挙を断行するとの見方も示し、10連休突入を前に「5月の解散風」が永田町に吹き始めた。

政界では、今国会での会期末解散による衆参同日選論が取り沙汰されており、消費税10%先送りは「首相が伝家の宝刀を抜く大義名分になる」(自民幹部)と受け止められている。与党内には「参院選に向けて、党内の引き締めを図るため」(閣僚経験者)との指摘がある一方、「首相は同日選断行で国政選7連勝を狙う気だ」(自民若手)との声も出て、疑心暗鬼が広がっている。

菅官房長官は「リーマン級ない限り引き上げ」

発言の主は首相側近の1人、萩生田光一幹事長代行。同氏は18日のDHCテレビのインターネット番組に出演し、10月の消費税率10%への引き上げについて、「6月の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の数字をよく見て『この先危ないぞ』と見えてきたら、崖に向かい皆を連れていくわけにいかない。違う展開はある」と増税延期の可能性を指摘。そのうえで「増税をやめるなら国民の信を問うことになる」と、その場合は安倍首相が解散に踏み切るとの見方を示した。

2012年の再登板時から消費増税に慎重だった安倍首相は、2014年11月には増税延期を理由に衆院解散を断行して圧勝。前回参院選直前の2016年6月には再度増税延期に踏み切り、同年7月の参院選で勝利を収めている。それゆえ、与野党は今回の萩生田氏の発言を「首相の意向を踏まえた観測気球」(立憲民主党幹部)と受け止めた。

菅義偉官房長官は18日の記者会見で「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、(消費税率を)10月に10%に引き上げる予定だ。政府の方針にまったく変わりはない」とこれまで通りの見解を表明。

併せて「国会で首相や私が責任をもって答えており、それがすべてだ」と萩生田氏の発言は個人的なものと強調し、景気判断についても「内需を中心とした成長が続いており、緩やかに回復しているという基調は変わっていない」と説明した。そして、麻生太郎副総理兼財務相は19日に「安定財源の確保が必要だ」と引き上げ延期を否定した。

また、経済界では日本商工会議所の三村明夫会頭が18日の会見で、萩生田氏の発言について「信じられない」と厳しく批判した。三村氏ら日商幹部は同日午前に麻生財務相と会談し、消費税引き上げに伴う軽減税率への対応などで協力を求められていた。三村氏は「中福祉小負担から中福祉中負担に変えるのが消費税の意味合いだ。足元の若干の景気の振れで(引き上げを)諦めるのは理解できない。(首相は)必ず上げると思っている」と苦々しげに語った。

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