萩生田氏「消費増税延期もありうる」発言の波紋 7月28日同日選へ吹き始めた「にわか解散風」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その一方で、消費税引き上げに反対する野党側は敏感に反応し、衆参同日選への警戒感も広がった。立憲民主党の福山哲郎幹事長はツイッターに投稿し、「増税延期は私たちがかねてから主張しており、当然だ」としたうえで、衆院解散については「堂々と受けて立つ用意がある。野党で協力して、安倍晋三政権を倒す絶好の機会を得たと考えている」と戦う姿勢をアピールした。さらに、19日には「政府の経済政策に関する予算委員会をただちに開くべきだ」と要求した。

国民民主党の玉木雄一郎代表もツイッターで「消費税増税先送りを口実にした衆参同日選の可能性が高まったといえる。政権はバラバラな野党の現状を見透かしている」として、持論の野党総結集促進を訴えた。共産党の志位和夫委員長は記者団に「重大な発言だ。われわれは今の経済情勢では増税できないと言い続けてきた。増税に突っ込むなら安倍政権もろとも吹き飛ばす決意だ」と厳しい表情で語った。

野党側はそろって「アベノミクスが失敗だったことを認めたもの」(又市征治・社民党党首)などと批判したが、連合の神津里季生会長は「将来世代にすでに過大な負担を先送りしている。そんなことを繰り返すべきではない」と増税延期には反対の立場を明確にした。

連合も含め、国政選挙に向けた野党共闘の態勢づくりは遅々として進んでいない。立憲民主と国民民主の感情的対立が原因だけに、「野党がバラバラの現状をみれば、首相が野党せん滅を狙って解散してもおかしくない」(立憲民主党幹部)との声も相次いでいる。

同日選断行には短期会期延長が必要

そこで注目されるのが今後の政治日程との絡みだ。萩生田氏は衆参同日選については「日程的に難しい」と述べた。確かに、今国会の会期末は6月26日で、その直後の28、29日に大阪で20カ国・地域(G20)首脳会議が開催される。「もし、会期末に解散して同日選となれば、日本で初めてのG20を『政治空白』の中で主催することになり、国際儀礼に反する」(首相経験者)との指摘が多い。

さらに、萩生田氏が挙げた「6月の日銀短観」の公表は7月1日とみられており、短観を踏まえて増税延期と解散断行となれば、「1週間程度の会期延長が必要」(自民国対)となるからだ。

ただ、首相サイドは当初、G20直後に首相とロシアのプーチン大統領による首脳会談で懸案の北方領土問題と日ロ平和条約締結への基本合意にこぎ着け、それを大義名分とした衆院解散・衆参同日選を狙っていたとされる。このため、「日ロ合意は遠のいたとしても、G20や日ロ首脳会談の国会報告を理由とした会期延長はありうる」(自民国対)との見方も出ている。

政府が国会会期を7月3日まで1週間延長すれば、日銀短観を踏まえた解散断行による衆参同日選の投開票日を7月28日(日曜日)に設定することが可能になる。

次ページ衆参同日選は「のるかそるか」の大ばくち
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事