鴻海の郭氏、「台湾総統選」出馬が起こす大波紋

鴻海出資のシャープの経営はどうなるのか

一方、郭氏が率いる鴻海はアップルのiPhoneの製造を受託し、その生産拠点の大半を中国に置いている。中国の習近平国家主席からは「古き友」と呼ばれるなど、中国との関係は深い。さらに、ビジネスマン出身のトランプ大統領の連想から、同じ企業経営者の「郭台銘なら経済をよくしてくれるに違いない」との声もあがる。

4月9日、シャープ東京支社に広東省長(右から2番目)を招き、8Kテレビの解説をする郭台銘氏(中央)と戴正呉氏(右端)。(写真:シャープ)

ただ、郭氏と中国との関係が深すぎるため、「中国寄りの郭氏では台湾の主権を維持できない。台湾が中国寄りになれば、アメリカの信頼も失いかねない」(民進党関係者)との警戒感は消えない。経済では中国に頼りたい一方、安全保障はアメリカからの武器購入などでバランスをとる。もし、トランプ氏のように外交をビジネス感覚で取引すれば、これまで築き上げた米中台のバランスが崩壊しないかとの懸念もある。

不安募る「郭台銘」後の鴻海

郭氏をとりまく不安は政治や外交安全保障面だけではない。郭氏の総統選出馬観測を受け、17日の鴻海の株価は年初来高値を更新した。だが、現地のアナリストは「今後は郭台銘氏の後継が本当に鴻海を経営できるかという不安材料しかない」と指摘する。

2018年の鴻海グループの売上高は5兆2983億台湾ドル(約18兆6400億円)と台湾でトップクラスの規模を誇る。また、鴻海は日本の大手電機メーカー・シャープに実質6割超出資する親会社でもある。

鴻海は1974年の創業以来、郭氏自ら「独裁」と表現するほどのワンマン経営で成長してきた。鴻海関係者によると、総統選出馬に伴い、郭氏は日常の業務からは退くも会長職にはとどまる意向を示したとされる。しかし、総統の兼職は禁止されており、当選の可能性が高まれば、「会長職も退くだろう」(金融機関関係者)とみられている。

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