「70歳以上」まで働いても年金額は増えない? 複雑な「年金と年齢」の関係をすっきりさせる

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今回の記事で言えば、厚生年金という公的年金制度の中の1つに関するものです。厚生年金は、会社などに勤める給与所得者が加入する制度で、自営業やフリーランスで働く人にはこの制度はありません。

現在、多くの会社は定年が60歳であり、その後は再雇用制度で65歳までは働き続けることができるというのが一般的です。定年までは多くの方が正社員で働いているので、その場合は全員が厚生年金に加入しています。

では、60歳の定年以降も働く場合の厚生年金はどうなるでしょうか。例えば再雇用で働く場合、一般社員の所定労働時間と日数の4分の3以上ある場合か、あるいはそれ未満であっても、いくつかの条件を満たす場合は原則として厚生年金に加入し続けることになります。

これは65歳を超えて70歳まで働く場合も同様です。長い期間、厚生年金に加入すれば、その分、将来もらえる年金額は多くなりますし、保険料の半分は会社が負担してくれます。長く働くのであれば、厚生年金の加入期間が増えるのはいいことです。

「75歳」まで厚生年金に加入したら年金は増える?

ただし、現在、厚生年金の保険料の納付期間(加入期間)は70歳未満となっています。そこで、今回の記事にあるように、厚生年金に加入できる期間をさらに75歳まで延ばすことを検討しようというのです。

背景には、70歳を超えても働く人が増えている、という実態があります。内閣府の『平成30年版高齢社会白書』によれば、70~74歳の就業率は27.2%、75歳以上の就業率は9.0%。70歳を超えてサラリーマンをしている人は、役員を除いても180万人以上いるとみられています。現状では、こうした人たちは会社から給与を得ながら働いていても厚生年金には加入していません。収入を得ることはできても、受け取る年金額の増加にはつながらないのです。

もし、今回の制度改正が実現したら、受け取る年金額はどれだけ増えるか。仮に75歳まで厚生年金に加入できて、かつ年金の受け取り開始を75歳からにした場合、将来どれぐらい年金受取額が増えることになるのでしょうか。今回の記事にある「厚労省の検討」とは、その試算をやってみようということです(もう試算しているかもしれませんが)。

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