竹中平蔵氏「改革の勢い止めた麻生氏と民主党」

平成でもっとも失われた時代について語ろう

日本ではこの間、毎年、内閣総理大臣が交代した。長期政権と経済の改善は、ほとんどコインの両面だ。政権が安定すれば、それなりの安定した政策を打ち出すことができ、経済がよくなる。経済がよくなれば、長期政権になる。

平成でもっとも失われた時代は、まったく逆だった。短期政権で経済パフォーマンスが悪くなる。だから首相のクビをすげ替える。すると政策が連続も徹底もできず、ますます経済が悪くなる。経済が悪くなれば、短期政権になる。リーマンショックのあと自民党から民主党へと政権交代が実現しても、同じことが続いた。

諦めた自民党、無茶苦茶な民主党

小泉内閣は財政再建を軌道に乗せるため、「骨太2006」(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006)で長期的な財政健全化の仕組みを打ち出した。これを第1次安倍晋三内閣も、続く福田康夫内閣も引き継いだ。最大の問題は、リーマンショックが起こったとき、これを麻生太郎内閣が放棄してしまったことである。

もちろん世界的な金融危機だから、政府は巨額の財政拡大をしなければならない。ただし、それはあくまでも臨時の支出として扱い、ショックの傷はいつか癒えるはずだから、そのとき臨時の支出を終えて骨太2006に戻るべきだ。日本政府はこのシナリオを立てなければならない――そう私は考えていた。

麻生首相にも「これは一時的な話だから、埋蔵金を使って一時的に支出し、骨太2006はそのまま置いておくべきだ」と進言したが、聞き入れられなかった。この流れで改革の勢いは失われ、そのまま民主党政権に至ってしまう。自民党は、ある時点ですっかり諦めたように思われた。

長年与党の地位にある自民党は、どうしても思い切った改革ができない。だから私も、民主党政権が誕生したとき、やっぱり少しは期待をかけていた。民主党は昔の社会党とは違う。基本的な考え方は保守だが、小選挙区制と世襲に阻まれて自民党から選挙に出られず民主党から出たという人も、少なからずいた。彼らが力を持てば、改革する保守になってくれるかもしれない、と思ったのだ。

ところが、民主党の政治は、まったく無茶苦茶であった。国民の側も期待が大きかっただけに、「裏切られた」という思いが非常に大きい。その結果、国民が「改革」ということそのものを、見失ってしまったように思われる。旧民主党が分裂した各政党の支持率が、最大の立憲民主党で6〜7%、それ以外は全部合計しても共産党の3%以下(2019年1月時点)というのは、国民の絶望に近い喪失感の表れではないだろうか。

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