福岡で見た「外国人技能実習生」の暗くない実情 ベトナム人が急増、就労環境整備は未だ課題
受け入れ企業の社長に同行して、技能実習生が働く現場を見学させてもらった。宇美町の誠榮技巧は、ビルや学校などのサッシ取り付けを主とする建築会社。佐々木誠社長がベトナム人技能実習生を受け入れ始めたのは2018年11月だ。日本ではいい人材が集まらず、仕事の現場で他社の外国人実習生が働く姿を見て、グローバCAに相談した。
初めて訪れたベトナムは「エネルギッシュで、日本人にとても友好的。送り出し機関に行くと、みんな礼儀正しくハキハキ挨拶して、AKB48グループの曲を歌ってくれたりした」と好印象を持った佐々木さん。
現地で9人と面接し、19~23歳の男性3人を選んだ。「その場で採用決定を伝えると、『やったー』と大喜びしてくれて。日本ではそんな素直な反応を見たことがなかったので、とてもうれしかった」と振り返る。
将来は日系企業で働きたいという夢も語った
3人は佐々木さんの自宅の隣にある一軒家で暮らしている。毎朝、同僚である日本人の職人が車で迎えに来て、現場へ行く。一緒に働くメンバーと現場は、仕事の状況に応じて変わる。
「最初はうちの職人も3人も戸惑っていたと思う。日本語の読み書きがある程度できても、職人は博多弁で早口だからヒアリングが難しいよね。現場は安全第一、双方にしっかりコミュニケーションを取ってほしいと伝えています」と佐々木さん。
何度か行き違いもあったが、職人たちは3人の人間性や仕事ぶりに接し、距離が縮まったという。今では仕事外でも一緒にご飯を食べ、生活の相談にものる。
3人がもっと学びたいと意欲をみせ、職人から「時間が空いたときに新しい技術を教えていいですか?」と佐々木さんに連絡がきたこともある。
3人は節約するために自炊し、現場に手作りの弁当を持ってくる。仕事は17時頃に終わり、夜は家でゲームをしたり、ベトナムの家族とビデオ通話で頻繁に話したりするという。穏やかな雰囲気のゴー・タイン・ダットさんは、いちばん年上で2人のお兄さんのような存在。
故郷で農業を営む両親と学生の弟がいる。仕事の内容に強いこだわりはなく、まずは来日するために借りたお金を返済し、稼いだお金を両親に送ることを第一に考えているという。
「正月にベトナム人15人でこの家に集まり、みんなでご飯を食べたのが楽しかった」と携帯の写真を見せてくれて、「佐々木社長が優しいから安心して過ごせます。将来は日系の会社で働きたい」と語った。
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