あの“ジリ貧"ブックオフが地味に復活した 2年間の売り場改革で脱「古本屋」の境地

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JR茅ヶ崎駅近くの茅ヶ崎駅北口店では、メインの売り場から本をなくすというチャレンジを行っている。

1階にあった本やソフトメディアの売り場を2階に移転。茅ヶ崎駅北口店の近くにある大型店のスポーツ用品売り場で得たノウハウを活用して、1階の売り場はサーフボードを中心とし、メンズ古着やメンズ用スニーカー、バッグをそろえた。湘南らしさをアピールするため、照明やBGMも工夫し、店舗スタッフの制服も廃止した。

古本を並べていたフロアには、今や別の商品が並ぶ(写真:ブックオフ)

地元で人気の商材をそろえたことで、2018年6月の改装後から売り上げは急回復。本やソフトメディアの売り上げは、売り場を半分に縮小した影響で減少しているが、平均して改装前の8割前後の水準を維持している。「大型店の経験でスポーツ用品とメンズ用品の相性がいいこともわかっていた。サーフボードの買い取りが想定に比べて進んでいないことが問題。あとは認知度をどのようにして上げていくか……」(同)。早くも次の課題に取り組み始めている。

過去の失敗を生かし、現場に権限委譲

実は、ブックオフにとって単独店への新商材導入は今回が初めてのことではない。

2016年3月期には「本のブックオフ」から「何でもリユースのブックオフ」への転身を目指し、中古家電の品ぞろえを増やした。ただ、当時は本社の指示、かつ全店一律の基準で進めたため、小型店の中には文庫本であれば400冊の本を並べることができる棚に代わって、大型液晶テレビ2~3台を並べただけの棚がでるなど売り場の魅力が低下。パートやアルバイトなどの増員負担とも重なり、赤字転落の要因となってしまった。

これに対して今回は、中古家電の導入で膨らんだ店舗運営費の効率化を進めるとともに、店舗の管理体制を店舗形態別から地域別に再編。約1年をかけて各店舗の業績や来店客の特性、売れ筋商材などを把握したうえで、2018年4月、地域営業部が新商材導入や看板の掛け替えなど自己の裁量で投資をすることができる投資枠2億円を設定。

新商材の選定も、「地域や各店舗の特性に応じた新商材の導入の権限を統括エリアマネージャーやエリアマネージャーに委譲」(堀内社長)している。

当然、現場の士気は中古家電のときとは違う。平塚四之宮店での成功を踏まえて、野口マネージャーは大和西鶴間店や横浜東戸塚店、座間警察署前店にも新商材としてホビーや玩具、プラモデルを導入。2019年3月には茅ヶ崎駅北口店の横展開として、京王八王子駅近くの八王子駅北口店の改装を実施、1階の売り場から本やソフトメディアを2階に移転して、1階をパソコンやスマホに特化した売り場に改装している。

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