瀧川鯉昇の落語のバックボーンには、若くして別れた8代目春風亭小柳枝の「美学」があると感じる。ささやかなことに独自の笑いを見いだす視点は「清貧」を愛し、世の中に折り合いをつけることなく生きた小柳枝そのものではないか。
「小柳枝は兄弟の中でいちばん長生きしたといっていましたが、実は1歳年上で、東大教授だったお兄さんが生きていたんです。去年の秋口でしたけど、落語会に訪ねて来てくれましてね。教授の書いた本と、『お仕事の研究にお使いください』って言って10万円を置いていった。住所書いてないの。付き合いたくないんですよ。親類中が、『芸人には近づいてはいけない』と(笑)。『今まで、俺たちはそれで散々な目にあったから』と」
さりげなく話すエピソードから、また1つの秀逸な「マクラ」が生まれそうである。
1975年、8代目春風亭小柳枝に入門。春風亭柳若を名乗る。1977年、5代目春風亭柳昇門に転じ、春風亭愛橋、春風亭鯉昇を経て2005年、瀧川鯉昇に。瀧川鯉昇を名乗った噺家は過去に何人かいるが、代数は不明。
「上方の6代目笑福亭松鶴師匠が持っておられましたが、没後門下の笑福亭鶴志兄さんのお取り計らいで出囃子にさせていただきました」(本人談)
「粗忽の釘」「時そば(そば処ベートーベン)」「御神酒徳利」「死ぬなら今」「茶の湯」「犬の目」「味噌蔵」「二番煎じ」「宿屋の富」「ちりとてちん」「佃祭」「明烏」「船徳」「長屋の花見」「鰻屋」「家見舞」「日和違い」「宿屋の富」「蒟蒻問答」「宿屋の仇討」「千早ふる」「へっつい幽霊」など
「噺は200ほど稽古しましたが、常時高座にかけることができるのは25くらいです」(本人談)
・真打
瀧川鯉朝、春風亭鯉枝、瀧川鯉太、10代目春風亭傳枝、瀧川鯉橋
・二ツ目、前座
瀧川鯉斗、瀧川鯉八、春風亭柳若、瀧川鯉津、瀧川鯉輪、瀧川鯉丸、瀧川鯉白、瀧川鯉ん、瀧川鯉舟、瀧川どっと鯉
・孫弟子 瀧川あまぐ鯉(瀧川鯉朝門下)
・新宿末廣亭 5月上席 5月1〜10日 17~21時
・浅草演芸ホール 5月中席 5月11~20日 12~16時30分
・春のらくご長屋“鯉昇爆笑飄々独演会”4月18日中野・なかの芸能小劇場 19時~ ※詳細は各主催者にお問い合わせください。
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