中国ラッキンコーヒー、「スタバ超え」の突破力 開業1年で2000店、さらに倍増以上に拡大へ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

デジタル技術を活用した利便性の高さに加え、ラッキンコーヒーのもう1つの売りは価格の安さだ。「割引クーポンが豊富で、価格が安いから使っている」(北京市在住の30代男性)。

スタバのアメリカンコーヒーが25元(415円)なのに対し、ラッキンコーヒーのアメリカンコーヒーは類似サイズで1杯21元(349円)と割安。さらに、アプリ内のプリペイド機能を使うと、クーポンを使ってより安く買うこともできる。プリペイド機能を使ってコーヒーを2杯買えば、1杯無料でもらうことも可能だ。

サービス対応では課題も

顧客の支持を得て、一気呵成に拡大をもくろむラッキンコーヒー。ただ、勢いはあるものの、現状はまだ赤字のもよう。ラッキンコーヒーは業績を公表していないが、「2018年の1月から9月の累計収入は3.75億元(62億円)、純損失は8.57億元(141億円)だったようだ」と、東洋証券の奥山要一郎氏は語る。

奥山氏は「中国の新興企業には『目立ってナンボ』という風潮がある。ラッキンコーヒーも赤字覚悟でクーポンをばらまいている」と指摘する。クーポンのばらまきを減らしても顧客から支持を得ることができるのか、今後問われることになる。

ピックアップ専門の店舗もある(記者撮影)

店舗でのサービス対応も、まだ改善の余地がある。広東省在住の30代男性は「ラッキンコーヒーはミルク入りのコーヒーが多いのだが、店で頼んでも抜いてもらえない。ミルクが苦手だから困る」と漏らす。

一方で、スタバはこういった顧客の要望に柔軟に対応しており、サービス面ではやはり軍配が挙がる。スタバは上海に、コーヒーの製造過程を見ることができる体験型店舗「スターバックス リザーブ ロースタリー」を2017年12月に開業した。さらに昨年8月には、現地eコマースの最大手であるアリババグループと戦略提携を発表。9月中旬から、アリババと組んで配送サービスを始めている。

ライバルはほかにもいる。マクドナルドは中国全土で2900店以上を展開中(2018年11月時点)。同社が扱うアメリカンコーヒーは類似サイズで21元(349円)と、ラッキンコーヒーと同額だ。マクドナルドも、運営する「マックカフェ」の出前アプリを使って、一部店舗でカフェの配達を始めた。

ラッキンコーヒーが展開を強化する競合から抜きん出るためには、価格とは別の差別化が必要になってくるだろう。快進撃は続くのか、早くも2019年が勝負の1年になる。

若泉 もえな 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事