また、リクルートワークス研究所の調査では、過去3年と比較して入社半年以内に離職した社員数が増えたと回答した会社は21%。さらに前職との仕事の違いや社内用語や慣習に対する戸惑いなど、中途組の退職につながりかねない悩みを数多く抱えていることが明らかになっています。
ある大手金融系企業では、即戦力を期待して採用した営業系人材48名のうちなんと40名が1年で退職していました。事業計画とかけ離れた人員構成になり、事業部門のトップが「これだけ退職が増えたら、目標を達成するのは不可能だ」と白旗をあげたという話も聞きました。
同じように中途採用した社員が新卒組以上に流失し、その原因分析や対策の相談が頻繁に舞い込むようになりました。
これまで、中途採用した社員が退職すれば、新たに募集して補充すればいい……と考える会社が大半でした。ところが、人材流失の多い会社では、中途採用による人材の確保が難しくなりつつあります。とくに人材紹介のエージェントを活用するとその傾向は顕著です。退職率の高い会社への紹介を控えて、誰も推薦してくれない、候補者の紹介がない状況に陥る会社が出てきているのです。
エージェントからすれば、転職希望者のキャリアを考えて、退職率の高い会社はあまりお勧めしません。退職率の改善に取り組み、成果が見えたら推薦いたします……と指摘された会社もあるようです。
あとは仕事ぶりで示してもらいたい…ではあまりに乱暴
当然ながらエージェントを活用して退職が多ければ、コストも膨らみます。ちなみに中途採用でエージェントを活用すると、1名採用するごとに年収の40~30%がかかります。仮に20代で年収450万円くらいの社員を1名中途採用すると150万以上。つまり、前述の金融系企業で40名が退職すると6000万円以上の損失が生まれるわけです。
仮に退職がその半分にとどめられれば3000万以上の損失を防げますし、さらに補充するための採用にかかるコストや育成コストなどがかかることを考えれば、定着に対する努力を怠ることは計り知れない損失といえます。
では、どうしたらいいのか? 中途採用イコール即戦力、職場に配属されたら、あとは仕事ぶりで示してもらいたい……これでは、あまりに乱暴です。同じような役割でも職場が変われば、仕事のやり方や会議のルール、上司に承認を取る方法も違います。こうした、風土やカルチャーの違いは仕事をするうえで大きなストレスになります。このストレスによって、退職したいと感じてしまう人が相当にいます。
転職したばかりの若手社員たちにインタビューすると、こうしたストレスを感じていると回答する人に遭遇する機会がたくさんあります。
例えば、資料作成の決まりごとが前職とは大きく違い、事細かな記入が必要。その作業で仕事が捗らないとイライラが募る。あるいは、社内で使われる用語が大きく違い、誤って前職の用語を使い「違っています、正しくは……」と指摘されることが何回も起きて、それがストレスになっていると語ってくれた人がいました。
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