「令和」の日本に残された3分野の大きな難題 マクロ、産業、立法・行政・司法を総点検
さらに行政で問題なのは、いまだに「キャリア制度」が残っていることだ。本来であれば、 2008年に成立した「国家公務員制度改革基本法」によって、それまであったキャリアとノンキャリアの区分を事実上廃止し、キャリア採用の試験もⅠ種試験、Ⅱ種試験という形を廃止。総合職試験と一般職試験、専門職試験の3つに区分して再編したはずなのだが、実質的にキャリア制度はいまだに残っている。
新聞報道でも、いまだに堂々とキャリア官僚が何かのイベントに参加したニュースが伝えられ、テレビドラマなどでもキャリアが活躍する。さらに、同時期に官僚の人事制度が改正されて、それまで官僚同士がなれ合いで人事を決めていたのが、2014年に内閣府に移管されて官房長官に人事権を奪われてしまった。
その結果、官房長官を通して内閣府の長である総理大臣に忖度(そんたく)する官僚ばかりになってしまった。それを利用する政治家も政治家だが、内閣に逆らった官僚は地方に飛ばされるしかなく、今の官僚は完璧に政治家に牛耳られてしまっていると言っていいだろう。
さらに、警察や検察そして裁判などの後進性も令和時代の課題になりそうだ。いったん釈放されたカルロス・ゴーン元日産会長が4度目の逮捕をされたが、弁護士が指摘するように「人質司法」の蔓延が、現在の日本の司法システムを支配している。
証拠よりも自白を重視するあまり、自白させるための逮捕が当たり前になっている。これは世界では通用しない。
今後、優れた経営者が日本にやってきてくれるのか。人質司法のような旧体質の司法システムを見て、日本で働くことを躊躇するグローバル経営者が増えるかもしれない。
日本国内の競争を阻害する“バラマキ行政”の弊害
一方、行政システムの問題では、令和時代の大きな課題になるのが「補助金行政」の問題だ。補助金という名の“バラマキ行政”が、日本国内の競争を歪め、自分の力でプロジェクトを立ち上げる、自力で開発するパワーを阻害しているのではないか。
そもそも私学など民間企業に税金である補助金を給付することは、諸説あ
るものの憲法で禁止されている。しかし、現在の日本の産業界の多くは、政府の補助金や公共投資を収入のメインとしているところも少なくない。補助金を極端に減らしていけば財政赤字も自然となくなっていくはずだ。
ざっと、3分野にわたって平成時代に解決されていない課題を紹介したが、ほかにも問題は山積しており、別の機会にまたまとめたい。これらの課題を解決することが令和の時代にできるのか。未来を背負う世代に期待するしかない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら