「令和」の日本に残された3分野の大きな難題 マクロ、産業、立法・行政・司法を総点検
それを端的に物語っているのが、日本企業の内部留保の多さだ。
日本の景気回復が遅れている影響もあって、大手の日本企業も内部留保を取り崩して攻めの経営方針に舵を切れない。その結果として、今や日本企業の内部留保の合計は446兆円(2017年度、法人企業統計)にも達している。GDP1年分にも匹敵する金額だ。
そして、最近目立つのがコンビニの24時間営業縮小の動きなどに象徴される、人手不足に対応できない企業が増えていることだ。働き方改革で女性活躍社会を目指すと、安倍首相は大きなビジョンを打ち出しているが、今回の統一地方選でもわかるように、政治家の世界も女性は極めて少数だった。
人質司法がもたらす日本経済への懸念と現実
人手不足に対応できない以上、今後は外国人労働者が国内に入ってくる可能性が高くなってくる。令和時代は移民問題と真正面から向き合わなければならない時代になるかもしれない。
① 政治家の2世、3世化を促進する「選挙供託金」の高額化
② 消えたはずの「キャリア制度」がいまだに残る行政の忖度構図
③ 文明国ではありえない「人質司法」の負のスパイラル
④ ペーパーレス化が一向に進まない「行政の無駄」と「財政赤字」
⑤ 「補助金行政」が日本の隅々に浸透する不合理と不都合
日本の政治は、国際的に見てレベルが高くないと言われることが少なくない。日本の政治に課題があるとすれば、首相や国会議員、地方議員などなど、日本を牛耳っている政治や行政が、その隅々に至るまで「世襲」になっていることだろう。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が3世であることがよく批判されるが、現在の日本のトップやナンバー2などの多くは、祖父や父親も政治家で、その地盤や人脈、資金までそっくり世襲によって受け継いでいるケースが目立つ。統一地方選でも、よく見ると娘や息子、孫が地方議員の跡を継いでいる姿が目につく。
その背景にあるのは、高額の「選挙供託金」というほかの先進国にはありえない仕組みだ。選挙供託金そのものは、どの国にもあるのだが、日本はなぜか異常に高額なのだ。憲法で選挙権および被選挙権が、一定の年齢に達した国民には等しく与えられているはずなのだが、実際に国会議員に立候補しようと思えば、衆議院の場合300万円の選挙供託金が必要になり、候補者の有効投票総数の10分の1に達しないと没収される。
先進国で見るとアメリカは選挙供託金がなく、フランスは日本円にして上院で4000円程度、下院でも2万円程度とほとんどかからず、イギリスでも日本円で8万円程度(小選挙区)だ。
日本は、誰もが選挙に立候補できるという環境をつくれていない。自民党政権が長い間、今の地位にいられるのも、この選挙供託金の存在があるからと言っていい。ちなみに、日本以外では韓国が比較的高く、それでも135万円程度だ。
100人、200人の立候補者があっても、ほかの国はそれをきちんと処理している。日本ができないはずはない。できないのではなく、したくないと考えるのが自然だ。
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