ファーウェイの「中の人」情報窃取疑念への回答

機器経由での盗み出しは技術的に可能なのか

なお、このインタビューのあとも、関係者が私のいろいろな疑問に答えてくれた。

曰(いわ)く、同社はこれまではビジネスだけにフォーカスし、外部とのコミュニケーションが不十分だったこと、それによって「ベールに包まれている」という印象を少なからず与えていたことで、昨年の12月からさまざまな疑念が持たれ、意図しない風評が広まったという見解だった。その経験からファーウェイは、今、積極的なコミュニケーションを心がけているという。

私の知る限りでは、ファーウェイのビジネスプロセスなどは、ボストン コンサルティング グループ、マッキンゼーなどのアメリカのコンサルティング会社に学んで構築したものである。しかし、アメリカ企業を手本にして、早い段階からグローバル基準に合わせて企業作りに取り組んできたファーウェイが、今アメリカと喧嘩しているのは皮肉だ。

中国の『国家情報法』の影響について

また、注目されている中国の『国家情報法』の影響についても、ファーウェイに単刀直入に聞いてみた。

同社の説明によると、同社が中国と日本の法律事務所にそれぞれ『国家情報法』について解析してもらったところ、中国の組織や個人が中国の情報機関に協力しなければならないという条項は海外に適用されないという結論に至ったとのことである。しかし、それは私からすれば当たり前の解釈にすぎず、このような解釈によって、ステークホルダーの懸念を完全に払拭することができるかどうかはわからない。

ただ、『国家情報法』の第8条は「国の情報活動は、法に基づいて行い、人権を尊重及び保障し、個人及び組織の合法的権利利益を守らなければならない」と定めている。これはすなわち、個人や組織に対してその合法的権益に反するような行為を強要することはしないと解釈できる。そのうえで、中国という国でどう運用されるか。ここは私見を挟まないでおこう。

しかし、改めて思ったのは、予想や伝聞ではなく、技術的な観点や事実から同社を評価していくことだろう。今回の対談の掲載によって、読者の皆様が客観的な視点で判断できるよう少しでも手助けできればと思っている。

アメリカはまだスパイウェア、バックドア等の具体的な証拠は出してきていない。同時にEUなどの各国では潮目が変わり、イギリスやドイツなどの国はファーウェイ排除を撤回し、技術的手段によりサイバーセキュリティを確保したいと公式的に発表している。今後、世界はどう動くのか。技術的な観点や事実ベースで眺めていきたい。

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