湯沢の新築3000万円物件が「ほぼゼロ円」の現実 凋落する「バブル時代のリゾートマンション」
こういったリゾートマンションの所有者の多くが、「できれば手放したい」と考えているはずだ。運よく買い手が見つかる場合もあるのだろうが、大半の人が絶望感を味わいながら、管理費や修繕積立金、そして固定資産税などを払っていると想像できる。その費用は30m2程度の狭い住戸でも、年間30万円前後はかかる。駅に近くて広い住戸だと、年間50万円以上になるはずだ。
年に1日も使わないのに、そういった費用は払い続けなければならない。これはもはや不動産ではなく、所有しているだけで自分の資産がマイナスになる「負」動産だろう。
「有料粗大ゴミ」同然の存在
最近、「なんとか手放せないものか」と考えている所有者の弱みに付け込んだビジネスが登場した。その会社のビジネスモデルは、「3年分の所有経費を払ってくれたら、区分所有権をもらってあげますよ」というもの。現所有者から3年分の管理費や修繕積立金、固定資産税などの総額相当を払わせることで、所有権を自社関連の法人に移転させるのだ。
所有者からすれば、3年分の経費を払うことで、実質的に4年目以降の支払いから完全に解放される。「だったら、3年分払うから引き取ってください」ということになるのだ。とうとう、リゾートマンションは有料粗大ゴミ同然の存在になり下がった。それも、かなり高額な引き取り料を要求される難儀なシロモノだ。
しかし、このビジネスには多分に無理があるように思える。その会社は、引き取って自社関連法人の所有にしたマンションをどうするのか。たぶん、転売はできない。元の所有者が何年もかけて売れなかった物件だ。こういった取引でその所有者になってしまったら、管理費や修繕積立金、湯沢町への固定資産税を払わなければいけないではないか。
この引き取りビジネスは、どういうスキームの下に成立しているのだろう。
私の勝手な推測を述べよう。
その会社は、関連法人で引き取ったリゾートマンションを放置してしまうのだろう。当然、管理費や修繕積立金、湯沢町への固定資産税は支払わない。支払うと、このビジネスモデルでは利益が出なくなるからだ。
つまり、この会社は報酬を得て区分所有権を自社関連の法人に移転するが、その後に生じる所有者としての義務は一切果たさないのだ。そして、3年分の所有経費相当の報酬は全額を利益にしてしまう。
最初からその意図でやったとしたら、なんらかの違法行為になる。しかし、「関連法人を作って運用に努めたのですが、どうにもうまくいかなくて」と言い訳をしておけば摘発はしにくい。おそらく、そういうスキームだろう。