「人口減少」と「高齢化」進む日本のヤバい問題 年金も医療制度も「現状維持」では破綻する

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「夫は定年まで正社員」「妻は子持ちの専業主婦で、一生、夫に添いとげる」という昭和のモデルケースのような家庭は、もはやごく一部の富裕層に限られると言っていいでしょう。

定年年齢も段階的に引き上げられており、1980年代前半までは55歳が一般的でしたが、1986年に高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)が制定されると60歳定年が努力義務に。2000年の改正法では65歳定年が努力義務となり、2012年改正法で完全に義務化されました。

政府は現在、70歳定年を目指していますが、これまでの流れから考えると、2020年代には実現するでしょう。

「人生100年時代」と言われるなか、健康な人であれば、80歳ぐらいまで働き続けるのが当たり前になるはずです。政府が定年を延長したがる理由は、言うまでもなく公的年金の受給開始年齢を引き上げるためです。

年金を含めた社会保障にかかる費用は、2011年度は約108兆円だったのに対し、2025年度は約150兆円まで増大すると見られています(厚生労働省、2012年推計)。およそ1.5倍です。日本政府はすでに莫大な借金をしているため、これ以上の財政支出は不可能です。このままでは、年金制度は破綻してしまう可能性が高い。

今の40代が高齢者になって年金を受け取れるのは、75歳か80歳になってから、なんてことになりかねません。しかも、給付額が大幅に減るのは確実でしょう。

現在の医療費の自己負担割合は6〜70歳が3割、70〜74歳が2割、75歳以上が1割(70歳以上でも現役並み所得者は3割負担)となっていますが、いつまでも高齢者を優遇し続けることは、財政上不可能です。

2019年10月には消費税が10%に増税されるかもしれませんが、まだ足りない。今後15%、18%、20%という具合に、上がり続けたとしても、まったく不思議ではないのです。

われわれは「長生きする可能性が高い」

仮に75歳まで定年が延長されたとしても、すべての人が健康で働き続けられるとは限りません。2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳(厚生労働省「平成29年簡易生命表」)ですが、平均寿命はさらに延びる可能性が高い。

平均寿命とは、その年に生まれた赤ちゃんがその後何年生きるか推計したもので、例えば、2017年生まれの女性なら平均87.26歳まで生きるということです。

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一方、ある年齢の人が、この先何年生きるかを推計したものは「平均余命」と言います。例えば、2017年に65歳の女性なら、平均余命は24.43年(前出の簡易生命表)なので、89.43歳まで生きることになります。

つまり2017年において、0歳の女性の平均寿命は87.26歳でも、65歳の女性は89.43歳まで生きるということです。自分が何歳まで生きるかを考えるときは、平均寿命ではなく平均余命で考えなくてはなりません。平均余命で考えると、男性は90〜100歳、女性は100歳超まで人生は続く可能性が高いと思ったほうがいいでしょう。

医療経済学者で長浜バイオ大学教授(医学博士)の永田宏氏によると、今後も医療技術の進歩に伴い、平均余命はさらに延びる可能性が高いとされており、平均寿命を基準に考えていると、多くの人が“思ったより長生き”してしまうことになるそうです。

小林 昌裕 副業アカデミー代表
こばやし まさひろ / Masahiro Kobayashi

明治大学リバティアカデミー講師。1982年、東京都生まれ。2009年にサラリーマンをしながら、不動産投資を始める。2014年に退職し、現在は、20余りのキャッシュポイント(物品販売や太陽光発電、大学講師、コンサルティングなど)を持ち、クライアントの収入の柱を増やす活動に尽力している。年間収益は1億円を超える。また、副業を教える学校「副業アカデミー」の運営をしながら、さまざまな大学・企業・団体での講演を通じてあらゆる人の収入の柱を増やす活動をしている。

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