名鉄の「迷駅」、名古屋駅は4線化でもう迷わない 駅ビル再開発に合わせて地下も大幅改良

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これまではやりたくてもできなかったことが可能になったのは、主に次の2つの要因が関係していると思われる。

まず1つ目は、長さ400mにもわたる駅ビルを新たに造ることから、いったん現状の建物を解体するため、地下構造物を新たに造る好機であることだ。この計画がなければ、費用がかかるシールド工法で駅部分のトンネルを掘る必要があるし、そこには現建物の基礎や支柱、それに各種配管なども埋まっているであろうから、かなりの難工事になりそうだ。

もう1つの要因は、一体化する駅ビル計画に近鉄グループホールディングスも加わっていることだ。近鉄パッセの地下を使わないことには、この4線化計画は成り立たないのだ。

なぜいま計画されたのか?

では、この巨大再開発が、なぜいま計画されたのか。それは、2022年度着工、2027年度完成予定という工期から予想がつく。

名古屋駅を後に岐阜方面へ向かう特急列車(筆者撮影)

名鉄は訪日客の増加とトヨタ自動車をはじめとした愛知県内企業の好調さから、利用者が増加傾向にあり、2019年3月期も過去最高益を更新する見通しだ。さらに、2027年にはリニア中央新幹線名古屋開業が予定され、同年に向けて名駅(名古屋駅)周辺は大きく変わろうとしている。かつてホテルが少ないと言われていた名駅周辺だが、リニア開業を前提に次々とホテルが建っている。

名駅そのものも、JRに続いて名鉄が駅ビルを建て替えるし、名駅前の高層ビル群もこれまでに一通り建て替えられて整備され、いずれも好調な様子だ。

さらに「迷駅」とも揶揄される名鉄・近鉄・JR・名古屋市交(地下鉄)などの駅の導線は、名古屋市が先頭に立って大改造の計画を進めている。4線化される名鉄名古屋駅は、ホーム全体がややJRから遠くなるにしても、乗り継ぎに使用する改札口を名古屋市による導線改良に合わせたものとすれば、実際の乗り換え時間は短縮できる可能性すらある。

さらに、2020年までは東日本大震災の復興と東京五輪のために、東日本を中心に大型土木事業が目白押しだが、その後は2025年の大阪万博くらいしかいまのところ見当たらない。つまり、2020年以降に着手することで、建設費を抑えることも見込まれよう。東京では2020年、大阪では2025年が当面の都市整備の目標となる中、名古屋圏は早い段階から2027年を目指して、名駅エリアを中心とした整備が進んでいるのだ。

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