新日石・新日鉱HD統合--「巨人」誕生で石油業界は何が変わるのか?

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 今回の新日石と新日鉱HDの組み合わせで注目されるのが、新日鉱HDの手掛ける金属事業の存在だ。金属事業では銅鉱山開発、銅精錬、IT関連素材製造などを手掛けており、この分野は今や収益柱。08年3月期には在庫評価の影響を除いた実質経常利益1432億円のうち、実に9割を金属事業が稼ぎ出した。

「非石油」事業拡大へ 異業種との連携活発化

統合新会社は15年度の売上高で10兆円、経常利益5000億円を目標としている。新日鉱HDの高萩光紀社長によれば、売上高の内訳は石油事業が9兆円、金属事業が1兆円。これに対して経常益は「石油で3000億円、金属で2000億円を出す体制にしないといけない」としている。石油事業の経常利益率は現状の3%台のまま。金属事業で20%の利益率達成を目指す考えだ。

石油元売り各社は、環境問題への関心の高まりで石化燃料の利用に向けられる監視の目も厳しさを増していく。いやが応でも「非石油」事業拡大へ舵を切らざるをえない。たとえば、昭和シェル石油は太陽光発電ビジネスで世界最大級のパネル工場建設に乗り出した。出光はテレビや携帯向け有機EL供給に傾注する。

一方、国内では化学業界も需要低迷で青息吐息。石油化学事業にも注力する石油元売りとの関係強化も考えられる。「これから手を組もうとする相手は、必ずしも石油会社とは限らない」(出光の比留間孝寿常務)。

今回の「巨人」誕生は石油業界だけではなく、日本の製造業全体の勢力図激変への号砲かもしれない。

  


(松崎泰弘 =週刊東洋経済)
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