キティがハリウッドで世界デビューする皮算用 サンリオの壮大な計画、真の狙いを読み解く

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ただし、サンリオのメインキャラクターはあくまでハローキティ。海外でのライセンス収入の大半はキティ関連が占める。そのハローキティがテーマの映画が世界規模で公開されれば、苦戦している海外のライセンスビジネスにとって大きなプロモーション効果が期待できるというわけだ。

今回の映画化の契約では、ハローキティだけでなく、サンリオが保有するほかのキャラクターも映画で使用できるとみられる。「まずはハローキティが中心の映画となるが、ヒットすれば、ほかのキャラクターを主役にしたスピンオフ映画など、第2弾・第3弾の映画化も期待できる」(サンリオの伊藤保人・映画準備室部長)。これが実現すれば、海外でのほかのキャラクターの人気向上にも、つながることになる。

今回の映画化のプロジェクトは、約3年前から進んできたもの。2016年3月頃に映画化の打診がサンリオ本社に届き、ニュー・ライン・シネマ社の社長とプロデューサーのボー・フリン氏が来日、サンリオの辻信太郎社長と面会したことが始まりだった。

その後、ほかの複数のハリウッドのメジャースタジオからも映画化の打診があった中から、「サンリオの理念、ハローキティやほかのキャラクターへの理解が深かった」(伊藤部長)として、同社に映画化権を許諾することを決定。詳細の交渉を経て、ようやく契約が締結され、映画製作の発表ができる段階になった格好だ。

あえてリスクを獲りに行ったサンリオ

むろん、映画の世界では、進行中の企画が途中で頓挫するケースもある。たとえ無事に公開されたとしても、ハローキティの認知度や好感度を世界的に高めるようなヒットにつながるかどうかは未知数である。

日本が誇る人気キャラクターは、映画化をきっかけに再び世界でブームを巻き起こすことができるか。ハローキティのハリウッド映画デビューの成否は、サンリオの今後の再飛躍のカギを握ることになりそうだ。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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