キティがハリウッドで世界デビューする皮算用 サンリオの壮大な計画、真の狙いを読み解く

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東宝の場合、この2019年5月に公開が近づく続編「GODZILLA:King of the Monsters」では、映画化権の許諾に加えて出資社に名を連ねており、映画がヒットした場合には相応の収益配分を得ることができる。しかし、「ハードな交渉によって実現できたものの、通常は大きな興行収入が見込めるようなハリウッド映画に出資することは非常に難しい」(同)のが実情だ。実際に今回のサンリオも、映画における出資の有無については、明らかにしていない。

しかし、仮に映画興行自体から得られる収入が少なかったとしても、世界的に映画が公開されることは、サンリオの本業にとって追い風となる。

なぜならサンリオの収益柱は、顧客企業のアパレル製品やグッズなどに対してキャラクター使用を許諾することで生まれる、ライセンス収入だからだ。その中でも海外から得られるライセンス収入は、2017年度には売上高の4割、利益の5割近く(本社経費などの控除前)を占めており、全社の収益を牽引する位置づけとなっている。

ここ数年のサンリオの業績は苦境にあえいでいる。2013年度の営業益210億円をピークに、4期連続で減益。2018年度も連続減益予想で、営業利益は52億円と、2013年度の4分の1に満たない水準に縮小する見込みである。

この要因となっているのが、海外、とくに欧米のライセンス収入の急減だ。2013年度には欧米地域だけで154億円の利益を荒稼ぎしていたのに対し、2017年度の同地域の利益は6億円。欧米でのハローキティのブームが一巡したといえばそれまでだが、低迷する欧米での復活がなければ、サンリオの業績改善は難しい。

欧米では競合キャラクターに押されていた

その欧米における不振の一因となっているのが、競合キャラクターの攻勢だ。ライセンスビジネスでは、キャラクターの認知度や人気の向上が売上高に直結するが、ハローキティはアニメなどから生まれたキャラクターでなく、今までは映画をはじめとする映像作品を通じたプロモーションが難しかった。

それに対し、例えばウォルト・ディズニーは大ヒットした「アナと雪の女王」をはじめ、映画の公開と合わせて関連グッズを積極的に展開。ウォルマートなど量販店で人気を博していたハローキティのグッズは、映画の人気を追い風にした競合キャラクターに押されており、売り場を失っていった。

実はサンリオもほかのキャラクターでは、映像作品によるプロモーションを行っており、2018年4月にはオリジナルアニメの「アグレッシブ烈子」をNETFLIXで世界190カ国に向けて配信。カラオケでデスメタルを歌ってストレスを解消する、OL姿のレッサーパンダ「アグレッシブ烈子」の認知はアメリカなど海外でも上がってきており、ライセンス契約の増加につながっているという。

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