アップルが発表「iPhone向け新サービス」の全貌 「サービスの最適化」で端末の価値を高める

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これに対してアップル自身がパブリッシャーとして、クリエーターそれぞれの感性を生かし、情熱を傾けたゲームを提供するプロジェクトがApple Arcadeだ。まだ価格は決まっておらず、サービスの提供も秋になるが、すでに実績のあるゲームクリエーターとともに質の高い没入感のあるゲームを100本以上用意し、月額固定料金のサービスとして提供する。

すなわち、従来のAppStoreの枠組みでは遊んでもらうことが難しかったタイプのゲームを定額サービスという形にして、クリエーターとゲームを楽しむユーザーの間をつなごうという狙いが見える。

Netflixとは異なる形の定額サービス「Apple TV+」

同じような考えは、アップル自身が制作に投資を行うApple TV+にも垣間見ることができる。

日本とアメリカではApple TV向けに用意されているコンテンツが異なるが、アメリカではスポーツ中継など多様なコンテンツが用意されており、さながらCATVのインターネット版といった様相だ。

アップルはこのApple TV向けコンテンツや機能をさらに強化したうえで、ハードウェアとしてのApple TV以外に、iOSデバイスやmacOS向けも含め改良型のApple TVアプリを提供する。

新しいApple TVアプリは、AppStoreやApple Musicの改良と同様にコンテンツの発見と、発見したコンテンツのディテールが見通しやすいよう配慮され、また前述したように“キュレーション”にすることで、よりよいコンテンツとの出会いを演出するよう作られるという。

またコンテンツとの出会いは、契約している有料チャンネルや配信サービスにかかわらず、横断的に検索結果やオススメコンテンツへの誘導が行われ、機械学習によって視聴傾向から好みと思われるコンテンツへの動線が引かれる。

体験視聴やドラマの第1話への無償アクセスを手続きなしに行え、そこで気に入れば有料視聴へとつなげていく仕組みで“よりよいCATV”という形式を取っている。

そしてこのテレビ体験を拡張するのが、アップルが一流クリエーターに投資したApple TV+というわけだ。

ジェニファー・アニストン(右)とリース・ウィザースプーン(筆者撮影)

今回のイベントに参加した映像製作者や俳優は、オプラ・ウィンフリー、スティーヴン・スピルバーグ、ジェニファー・アニストン、リース・ウィザースプーン、オクタヴィア・スペンサー、J・J・エイブラムス、ジェイソン・モモア、M・ナイト・シャマラン、ジョン・M・チュウなど。

各作品はトレーラーでしか視聴していないが、トップクラスの映画だけでなく、毎日の情報番組あり、本格派ドキュメンタリーありと、バラエティーに富んでいる。

しかし、この発表がNetflixやAmazonビデオへの挑戦なのか?と言えば、そうではない。なぜならアップルは自社デバイスで、それら映像ストリーミングサービスに(アプリをインストールすることで)Apple TVアプリの範疇で対応できるからだ。

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