急増する「お一人様」はホテルに歓迎されるのか 一人旅は「宿泊料金」が割高になるのは本当?

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同プランの主なターゲットは歴史に興味を持ち始めた35~45歳くらいの年齢層で、利用者の男女比は月にもよるが、およそ4対6で女性のほうがやや多いそうだ。

ビュッフェではあるが、焼きたてピザを各テーブルに届けるワゴンサービスを開始したことで、スタッフと一人利用の宿泊客の間にもコミュニケーションが生まれやすくなったという(筆者撮影)

こうしたお得なプランは、当然のことながら部屋の需要予測をしながら、供給を調整している。ちなみにプリンスホテルでは、一人旅に特化したプランというのは、まだまだ数は少ない。

なお、清野氏は一人旅需要を取り込んでいくうえでは、レストランが課題だと話す。「当ホテルのレストランはビュッフェ形式ですが、お一人のお客様にも、もっと気軽にお食事をお楽しみいただきたいと考えています。今後は、バーカウンターで夜景をお楽しみいただきながら軽食が取れるようなサービスも検討してまいります」と話す。

ところで、一人旅ではビジネスホテルを利用するという人も多い。駅からのアクセスがよい施設が多く、余計な気を使わなくていい気軽さが主な理由だ。

では、ホテル側はビジネスユース以外の、観光目的の一人客を取り込む施策をどのように行っているのだろうか。

女性一人旅のさらなる取り込みを狙う

周辺に神戸北野異人館や南京町(中華街)、メリケンパークなどの観光スポットがある「神戸三宮東急REIホテル」(以下、三宮REIホテル)は全館235室のうちシングルルームが135室を占め、当然のことながら1名での宿泊が多い。平日はビジネスユースが多いが、「近年は、週末は観光目的の一人旅のお客様が増えてきています。一人旅は女性客が多い印象を受けます」と話すのは総支配人の宮﨑公之氏だ。

こうした女性一人旅の増加傾向や、「ネット時代になり、ホテルも横並びで価格が見られ評価される時代。それでも選ばれる特色を出さなければならない」(宮﨑氏)という危機感もあり、2016年の年末から足かけ2年にわたって行った全館リニューアル工事では、4階から12階の客室フロアのうち、10階を女性専用のレディスフロアに改装した。部屋の構成は全26室のうちシングルが15室、残りがダブルおよびツインだという。

「改装前は10階の14室のみを女性専用のレディスルームにしていましたが、一般の部屋と混在し、アメニティや部屋の備品が多少違う程度でした。ワンフロアを丸ごと女性専用にするのは女性客で埋まらなかった場合の機会損失のリスクはあります。しかし、思い切った改装をすればクチコミなどで発信されるのではという考えもあり、エレベーターホールや客室の内装など、費用をかけて女性に特化した空間づくりをしました」(宮﨑氏)

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