急増する「お一人様」はホテルに歓迎されるのか 一人旅は「宿泊料金」が割高になるのは本当?

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次に訪れたのは、2017年10月に開業した「名古屋プリンスホテル スカイタワー」(以下、名古屋プリンス)だ。同ホテルは名古屋駅南の貨物駅跡地の開発プロジェクト「ささしまライブ」の中核施設「グローバルゲート」の31階~36階を占め、客室からの夜景や、眼下に位置する名古屋駅周辺を行き交う鉄道7路線が見渡せる「リアル鉄道ジオラマ体験」がウリになっている。

名古屋プリンスは、コンセプトを「空の浮きふね」としており、海や船をモチーフにしたインテリアが随所にあしらわれている(筆者撮影)

客室は全170室で、広さは32.3m2~79.4m2とさまざまだが、すべてツインルームかキングルームであり、シングルルームの設定はない。

では、同ホテルの一人旅利用はどれくらいあるのだろうか。名古屋プリンス事業戦略アシスタントマネジャーの清野了平氏に聞くと、「当ホテルのDOR(1室あたりの平均利用人数)は2.0に近く、市内のほかのホテルに比べると、1名様での利用は少ない傾向にあると思います」という。

ちなみに、1人利用時の部屋の料金は、「2名様利用時のお1人あたりの料金の1.7~1.8掛け程度」(清野氏)とやや割高な設定になっている。ファミリー向け、カップル向けのシティホテル、リゾート施設の運営を主とするプリンスホテルの事業内容からすれば、当然なのかもしれない。

1名利用に特化したプランを販売

とはいえ、一人旅を受け入れていないということではなく、「大人の一人旅」という1名利用に特化したプランも昨年春から販売開始し、現在、全宿泊の2%程度を占めるという。もちろん、同プランを使わずに1名で宿泊している人もいるから、名古屋プリンス全体の一人旅利用は、もう少し高い数値になるだろう。

名古屋駅周辺を行き交う鉄道4社7路線が見渡せる「リアル鉄道ジオラマ体験」が楽しめる(筆者撮影)

この「大人の一人旅」プランは宿泊料金自体を1泊1万3000円~と抑え気味にし、さらに名古屋城入場券と観光ルートバスの1日乗車券も付いたお得な内容になっている。

同プランを販売し始めた経緯について清野氏は、「名古屋プリンスが開業して1年が経ち、新たな需要を取り込んでいく必要がありました。名古屋城の天守閣木造復元事業により名古屋城が注目を集めるタイミングで、一人旅プランを造成することによって、歴史好きのお一人のお客様の需要もしっかり取り込んでいければということでレギュラープランとして準備しました」と話す。

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