「潮田はノー」、リクシルに投資家が解任要求 臨時株主総会でガバナンスをただせるか

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――臨時株主総会の招集を機関投資家が、しかも連名で行うのは極めて珍しい。

高野氏:今回はマラソン主導でやったと理解して欲しい。連名になった理由は、臨時株主総会開催の基準(6カ月以上、3%以上を保有する株主に招集権限がある)を1社では満たしていなかったことにある。

私が説明会に出たり、報道で名前が出たことで(賛同する機関投資家の議決権が)少しずつ積み重なっていった。また社内取締役会の伊奈啓⼀郎氏など、われわれの「ガバナンスをより正しい方向性に向かわせたい」という考えに共鳴してくれる方が出てきた。時間はかかったが、なんとか臨時株主総会の招集請求を出せる状況になった。

――通常は社内取締役を牽制するのは社外取締役の役割だ。

高野氏:これまでも社外取締役の対応をお願いしてきたが、アクションはない。せいぜいが、3月の説明会に出てきて、言い訳のような説明をしていただけ。残念だった。

マラソンなど機関投資家はリクシルの臨時株主総会開催を求めている(記者撮影)

本来ならば株主の立場を代表するはずなのにどこを見ているのか。われわれの提案を受けて、社外取締役の本来あるべき姿、果たすべきことを考えてもらいたい。

――今回、リクシルに求めたのは潮田氏と山梨氏の解任だけか。自社が推薦する取締役の選任などは求めないのか?

高野氏:求めたのは2人の解任だけだ。株主にできるのは取締役の解任だけであり、CEOやCOO(など執行役)の選任は会社が決めることだ。3月20日付で臨時株主総会招集請求書を投函した。すみやかに招集するように要求している。

委任状争奪戦はやらない

――プロキシーファイト(委任状争奪戦)などはやらないのか?

高野氏:今回は瀬戸氏と潮田氏、どちらのCEOが優れているかという、優劣を問うのではない。ガバナンスを問うという議案だ。リクシル株主の7割は機関投資家で、投票結果は公表される。票取り合戦をやるよりも、株主にもちゃんと考えてもらいたい。

――これまで株主が臨時株主総会を招集するのは、経営権を取る目的が多かった印象だ。今回はリクシルのガバナンスを問うためだけに、手間とお金をかけて臨時株主総会を開く。この会社にそこまでの価値があるのか?

高野氏:(臨時株主総会の開催を要求した)4者のコンセンサスではないが、私はこうした行動を通じて、ガバナンスが正しい方向に向かうことで、日本株もよい方向に向かうと思っている。会社は誰のものか、(利益やキャッシュの)分配を株主、役職員、成長投資のどこに向けるのか考えてもらえる良い機会になるはずだ。

小松氏:スチュワードシップコード、コーポレート・ガバナンス・コードが導入されて約4年。対話をしていけば、こういうことにならないケースもある。ガバナンスの不備が是正されていけば、外国人投資家の日本に対する見方もポジティブに変わるのではないのか。

――瀬戸氏の執行役への復帰はありえるか?

高野氏:繰り返しになるが、株主が(執行役の)CEO、COOを任命するのはスジが違う。それは取締役、指名委員会がちゃんと株主の声を聞いて判断するべきことだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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