アメリカで大論争の「現代貨幣理論」とは何か 「オカシオコルテス」がMMTを激オシする理由

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にもかかわらず、黒田総裁が「必ずしも整合的に体系化された理論ではない」と感じるのは、それが主流派経済学とはパラダイムが違うからにほかならない。

ここで、「現代貨幣理論」のポイントの一部をごく簡単に説明しよう(参考:スティーブン・へイル「解説:MMTとは何か」)。

まず、政府は、「通貨」の単位(例えば、円、ドル、ポンドなど)を決めることができる。そして、政府(と中央銀行)は、その決められた単位の通貨を発行する権限を持つ。

次に、政府は国民に対して、その通貨によって納税する義務を課す。すると、その通貨は、納税手段としての価値を持つので、取引や貯蓄の手段としても使われるようになる(紙切れにすぎないお札が、お金としての価値を持って使われるのは、そのためである)。

さて、日本、アメリカ、イギリスのように、政府が通貨発行権を有する国は、自国通貨建てで発行した国債に関して、返済する意思がある限り、返済できなくなるということはない。

例えば、日本は、GDP(国内総生産)比の政府債務残高がおよそ240%であり、先進国中「最悪」の水準にあるとされる。にもかかわらず、日本が財政破綻することはありえない。日本政府には通貨発行権があり、発行する国債はすべて自国通貨建てだからだ。

政府債務残高の大きさを見て財政破綻を懸念する議論は、政府の債務を、家計や企業の債務のようにみなす初歩的な誤解に基づいている。

政府は、家計や企業と違って、自国通貨を発行して債務を返済できるのだ。したがって、政府は、財源の制約なく、いくらでも支出できる。

ただし、政府が支出を野放図に拡大すると、いずれ需要過剰(供給不足)となって、インフレが止まらなくなってしまう。

このため、政府は、インフレがいきすぎないように、財政支出を抑制しなければならない。言い換えれば、高インフレではない限り、財政支出はいくらでも拡大できるということだ。

つまり、政府の財政支出の制約となるのは、インフレ率なのである。

ちなみに、日本は、高インフレどころか、長期にわたってデフレである。したがって、日本には、財政支出の制約はない。デフレを脱却するまで、いくらでも財政支出を拡大できるし、すべきなのだ。

物価調整手段としての「課税」と「最後の雇い手」政策

さて、国家財政に財源という制約がないということは、課税によって財源を確保する必要はないということを意味する。

アメリカでの現代貨幣理論の流行を紹介した日本経済新聞の記事は、この理論の支持者が「政府の借金は将来国民に増税して返せばよい」と主張していると書いているが、これは誤解である。現代貨幣理論によれば、政府の借金を税で返済する必要すらないのだ。

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