「運転中のスマホOK」でも喜べない車業界の難題 公道の自動運転に向け法整備が前進するが…
自動運転の実用化が着実に近づいてきている――。
政府は3月8日、道路交通法(道交法)と道路運送車両法の改正案を閣議決定した。ともに、現行法で想定していない自動運転への対応を進める。今国会で審議される。順調にいけば2020年前半に施行となる。
改正案では携帯電話の操作可能
文字どおり路上での交通ルールを定めた道交法は現行、運転者がつねにハンドルやブレーキなどを確実に操作できるように求めている。改正案では、自動運転の「レベル3」を念頭に、スマートフォンや携帯電話の操作などが可能になる。
一般的に自動運転はその機能によってレベル0(自動機能なし)からレベル5(条件を設けない完全自動運転)に分類されている。レベル1と2はあくまで運転支援でしかなく、現在市販されている最高の機能でもレベル2にとどまる。レベル3とは、限定した条件下で緊急時など運転者がすぐ対応できることを条件に、システム側が責任を持つ。まさに自動運転の第一歩である。
車両の安全性を定める道路運送車両法も、現状は自動運転に対応していない。改正案ではレベル3以上の実用を想定し、自動運転システムを、一定の安全性を担保するための基準(保安基準)を満たすべき装置として対象とした。
自動運転をにらんだ法整備で先行していたのは自動車王国のドイツだ。2017年に道交法を改正し、一定の条件が満たされている場合、運転者がハンドルを放して走行することを許可済み。アメリカでは州ごとに法律が異なるため、ネバダやアリゾナ、カリフォルニアなど積極的な州では公道実験が認められているが、依然として消極的な州も多い。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら