家賃90万円滞納を妻に隠した元エリートの破滅 29歳で独立も失敗、離婚→自己破産に陥った
裁判所から届いた訴状は、幸運にも自宅で自分が受け取りました。送達場所を会社にしてもらうよう書面を出せば、それ以降の書類は会社に送られ、訴訟のことを理香さんに知られることはありません。
隠そうというより、一発大きな仕事が入れば、それですべてがクリアになる、そんな甘い思いで現実から目を背けていたのでしょう。
けれども泣き叫ぶ理香さんからの電話で、一人さんのそんな甘い夢はもろくも崩れ去ったのです。
育ちのいい夫婦が堕ちた「家賃滞納」の闇
育ちのいいこのご夫婦を見て、誰が「家賃滞納」を想像するでしょうか。
強制執行の現場で、取り乱して泣き叫んでいらっしゃった理香さん。お家にお客さんが来たと勘違いして、喜びながら執行官にまとわりつく小さなお嬢さん。この両極端な光景は、とても残酷で切ないものでした。
この後、このご夫婦は離婚され、相馬さんは破産の手続きを取られました。
あのまま大手の広告代理店に勤務していたら、こんなことにはならなかったのではと思います。あるいはもっと起業に準備の時間をかけていたら。
それよりも何よりも、正直に理香さんに会社のこと、資金繰りのことを伝えられていれば……。そこには騙そうという気持ちはなく、大切な理香さんを心配させたくないという思いやりの気持ちが、結果、夫婦を離婚に導いてしまいました。
人生にはたくさんの分岐点があって、誰しもがそのときできうる最善の選択をしているはずです。しかしその選択は、予想だにしない結果をつきつける可能性を秘めているということでしょう。すべてを「たら・れば」でいくら後悔しても、残念ながら、もう後戻りはできないのです。
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