太陽光の42円の買取価格は功罪相半ば 経産省の村上敬亮・新エネルギー対策課長に聞く(上)

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――認定取り消しはどれくらいありそうか。また、結果を出すのはいつか。

常時1割くらいは、(運転開始までいかず)脱落しているので、そこからさらに上積みが出てくるだろう。ただ、最終的なレベルはやってみないとわからない。結果については、大臣にも評価していただく必要があるので、いつになるかはまだわからないが、あと2~3カ月もかけることにはならないだろう。

価格見直しと同時にリテラシーの底上げも大事

――太陽光の価格設定をどう見直していくか。

価格の問題は厳しく見直す。ただ、もう一つの問題として、リテラシー(能力、習熟度)のレベルが分散しすぎているということがある。買い取り価格が42円の時代でも、28円で(採算が乗るように)つくれる人がいる一方、80円かかるという人もたくさんいる。ここまでリテラシーに開きがあると、市場で競争させても収斂していかず、発散していく。

つまり、リテラシーがバラバラなまま価格だけ一気に下げれば、おそらく市民的意義の高い太陽光事業が抹殺され、中国製パネルを使って上手にもうける大企業だけが生き残るという事態になる。そのため、価格の下げ方にも気を付ける必要がある。リテラシーの底上げは、価格と同じくらい大事だ。電力会社との接続協議でもめるのも、業者のリテラシーが原因になっている場合が多い。最終的な価格は算定委員会が判断することになるが、こうした観点が必要になっている。

――利潤への配慮が終わる15年度から世界標準の価格に合わせていくという考え方は。

それはあまり考えていない。パワーコンディショナーなど補機類や用地を含めて内外価格差はあるし、ドイツと同じ条件でメガソーラーをつくっているわけではない。諸外国との買い取り価格の差は意識しているが、同じでなければいけないという理由はない。(後編へ続く)

 

 

中村 稔 東洋経済 編集委員
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