除染費用にも国費投入、東電救済のアリ地獄 機構法に基づく支援の破綻で見直し不可避
東京電力を生かしたままのなし崩し的な国費投入──。
自由民主党の東日本大震災復興加速化本部(大島理森本部長)がまとめた政府への提言が、廃炉・汚染水対策に続き、除染・中間貯蔵施設にも国費投入を行うとしたことで、論議を呼んでいる。
膨張続ける国民負担
この提言は、原子力損害賠償については従来どおり「東電が最後の一人まで責任を持って対応する」とした。
一方、除染の進捗を加速するため、現在計画済み以外の追加分は国が被災地復興のための「公共事業的観点から」取り組むべきとし、国の負担を求めた。財源は、大震災の復興特別会計(復興特別所得税・法人税など)となる。
さらに、除去した汚染土などを保管する中間貯蔵施設については、30年にわたって安定的に継続する事業であり、施設建設・管理には「費用の確保を含めて国が万全を期す」として、1兆~2兆円の建設費の国費負担を提言。財源は復興財源ではなく、「エネルギー施策の中で」確保に努めるべきとした。電気料金を原資とし、原発立地自治体に交付金を配る電源開発促進税を想定したものだ。
公明党は11月5日、これを了承。与党案として政府に提出される。政府内でも「民主党政権は政府の関与なしで東電に(事故対応を)やらせる道を選んだが、見直す時に来ている」(菅義偉官房長官)、「東電だけに全責任があるかのごとき話にするのはいかがなものか」(麻生太郎財務相)など国費投入に前向きの発言が相次ぐ。今後は来年の通常国会での関連法改正を含めて、具体策を検討する方向だ。
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