麻生、二階、菅、「安倍政権3本柱」にあつれき

「ポスト安倍」で3実力者の権力闘争に火ぶた

二階、岸田両派は衆院山梨2区で激しい保守分裂選挙を展開してきたが、1月下旬の山梨県知事選で共闘、勝利したことで対立を解消した。しかし、今回の静岡5区での公認争いで派閥抗争が再燃した形だ。自民党内からは「直属議員の監視・教育もできない幹事長が、自派の勢力拡大にまい進するのは横暴だ」(閣僚経験者)との批判が相次ぎ、首相周辺からも「二階氏はやり過ぎ」との批判が漏れるが、二階氏は「どこ吹く風」(側近)とされる。

二階氏とは次元が違うが、「知事選でのごり押し」(自民選対)が批判されているのが麻生氏だ。4月7日に投開票される統一地方選前半戦の焦点の一つとなる福岡県知事選で、麻生氏が新人の武内和久氏を自民党本部の推薦とするべく首相らを押し切ったからだ。自民党が前2回の知事選で支援した現職の小川洋知事に対し、麻生氏が小川降ろしを狙って元厚生労働官僚の武内氏を擁立したが、地元の二階派所属衆院議員らが現職支援に回ったことで同知事選は保守分裂選挙となっている。

事前の党世論調査で小川氏が圧倒的にリードしていたこともあって、首相や二階氏は小川氏を推薦したい考えだったが、麻生氏が「だめなら閣僚を辞める」と凄んだこともあって武内氏推薦を渋々受け入れたのが実態だ。首相側近の甘利明選対委員長は推薦決定後、「この決断は異例中の異例」と首をすくめるばかりだった。

菅氏は「質問排除」発言が問題に

今回の麻生氏のごり押しは2016年の衆院福岡6区補選で、麻生氏が擁立した新人候補を小川知事が応援しなかったことが原因だ。ただ、この補選で圧勝した別の新人を応援したのが二階、菅両氏で、それが今回知事選での保守分裂の遠因ともされる。麻生氏に反発する地元の二階派議員は党本部の推薦手続きを「瑕疵だらけだ」と批判し、政界引退後も地元で影響力を持つ山崎拓元副総裁や古賀誠元幹事長らともに党決定に反して現職支援に全力を挙げている。二階氏も周辺に「(武内氏は)勝手に負ければいい」と不快感を示したとされ、「選挙結果次第で麻生氏と二階氏の対立が深刻化する」(自民幹部)のは避けられそうもない。

その一方、政府のスポークスマンである菅氏は26日の記者会見で、特定の記者に「あなたに答える必要はない」と質問排除につながりかねない発言をした。この記者は、いわゆる「モリ・カケ問題」などで菅氏を問い詰めてきたことで知られ、昨年末には官邸側がこの記者の質問内容は事実誤認だとして、官邸の記者クラブに対応を申し入れるという異例の事態となった。菅氏の発言は、この記者が「会見は何のための場か」と質問したのに答えたものだ。

菅氏は27日に改めて発言の趣旨を問われると、「26日は2回にわたり同趣旨の質問があったので、あえて繰り返す必要はないということで(必要はないと)申し上げた」と強張った表情で説明し、発言撤回は拒否した。先に河野太郎外相が日ロ交渉に絡んで「次の質問どうぞ」を連発して謝罪した経緯もあり、立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は「記者に圧力をかける。誠実に答えない。官房長官として失格だ」と厳しく批判。首相サイドにも「官房長官が傲慢にみえると、内閣のイメージダウンにつながる」との不安が広がっている。

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