原子力規制委の“孤立”に世界は驚愕している

塩崎恭久・自民党原子力規制に関するPT座長に聞く

10月28日、衆人環視のもとで行われた田中俊一・原子力規制委員会委員長と廣瀬直己・東京電力社長の会談

――緊急提言では規制委と規制庁の人材強化の必要性も訴えている。

たとえば規制庁幹部の人材。マグウッド氏が自民党のエネルギー調査会に来られた際の説明にもあったが、規制庁の幹部には「原子力の技術と規制に深い経験」が非常に重要だ。実際、米国NRCの事務方トップはNRCに24年間在籍し、異なる7種類の管理職を経た人物。これに対し、日本の規制庁長官(池田克彦・元警視総監)は「no experience(経験ゼロ)」だ。原子力技術の知識もなかった。これは民主党政権時代の人事だったが、形のうえでは規制委員長が指名したことになっている。

――規制庁は来年3月に独立行政法人の原子力安全基盤機構(JNES)と統合するとともに、原発の安全審査要員を新規採用することで、現状の定員545人を1025人体制へほぼ倍増する。陣容はこれで十分か。

いや、まだ全然足りないだろう。米国では原発104基に対してNRCの人員は約4800人。これに対して日本では、原発50基に対して規制庁の人員は統合後も1000人強だから、割合的にはまだ少ない。さらに2倍いてもいいぐらいだ。

ただ、日本の場合はまず質の問題だ。今回のJNES統合で少しは改善するが、今後も幹部をはじめとした質の強化が優先課題だ。

孤立が変わらなければ設置法の改正も

――今回の緊急提言の実効性は。

それは規制委次第だ。規制委が受け入れなかったら終わり。国会の原子力調査特別委員会で対話を試みるが、規制委は3条委員会で独立しているので、強制力はない。規制委5人の考え方次第だ。

――規制委の設置法を改正するという考えは。

PTでは今日(12月17日)、そういう意見が出た。つまり、米国の「良い規制の原則」のようなものを法律化すべきとの意見だ。現在の日本の規制委の「活動原則」には、「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」とたった1行しか書いていない。私自身もそれ(議員立法による改正)は意味のあることだと感じている。

規制委は、原子炉安全専門審査会(炉安審)も事実上いらないと言っている。設置法にはこれまでと同じようにやりなさいと書いてあるのに、これまでと違うものでいいと言い張っている。こうした考え方も驚くべきことだと思っている。

(撮影:尾形文繁)

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