原子力規制委の“孤立”に世界は驚愕している 塩崎恭久・自民党原子力規制に関するPT座長に聞く

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また、われわれは何度となく規制委員長に対し自民党のPTに来てくれるように言った。最近はあきらめて言っていないが・・・。そもそも規制委の設置法は川口順子先生(元外相)や私たちが中心になって作ったものだから、われわれの思いを聞いてもらおうと申し込みをしたけれども拒否された。

それから、(泉田裕彦・新潟県知事など)原発の立地自治体の知事との面会や、(原子炉直下に活断層ありと判断された)日本原子力発電所の立地自治体である敦賀市長や地元住民の説明要求も拒否している。

「良い規制の原則」と大きなギャップ

米国原子力規制委員会(NRC)の「良い規制の原則(Principles of Good Regulation)」では、「認可事業者(電力会社など)および利害関係のある市民から広く事実や意見を求める必要がある。公共の利益は多岐にわたり、互いに矛盾することもあるが、これを考慮しなければならない。すべての情報を客観的かつ公平に評価したうえで最終決定を下し、理由を明記したうえで文書化しなければならない」と書いてある。また、「議会、他の政府機関、認可取得者、市民、さらには海外の原子力界と開かれたコミュニケーションチャネルを維持しなければならない」とされている。こうした原則は、米国以外の規制の世界でも常識だ。

これに対し、日本の規制委のコミュニケーションチャネルはまったく詰まっている。やはり、幅広く意見を聞いたうえで、独立して判断していただきたいというのが緊急提言でいちばん言いたかったことだ。

――電力会社や国会議員などあらゆる利害関係者の話を聞いていたら、規制当局者としての独立性が保てなくなるのではないかとの懸念もある。

(PTが11月に非公開ヒアリング・意見交換を行った)ウィリアム・マグウッド米NRC委員は「国会議員が議員会館に来てくれと言えばすぐに行く」と言っていた。英国も同じだ。日本だけだ、何もしないのは。われわれがこの緊急提言を説明したいといっても、非常に冷ややかな反応だ。

福島第一原発で汚染水の問題が起きたときにも、規制委員長はなかなか現地に行かなかった。(原発が集中立地している)福井県には(委員長就任後に)まだ一度も行っていないという。委員長が行けないときは、他の4人の委員でもいい。ただ、規制庁長官は違う。彼は“事務総長”だから。

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