日本高野連が待った、「球数制限」議論は進むか 新潟県高野連が導入予定も、再考を要請した

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「球数制限」に関する反論の中には、「試合だけで球数制限をしても仕方がない」とか「球数制限をすれば、わざとファウルを打って相手投手の球数を増やす『待球作戦』が横行する」という意見もある。それはそのとおりだ。

「球数制限」は、単にその制度の導入にとどまるだけではなく、高校野球が「勝利至上主義」から「子どもの健康第一主義」「スポーツマンシップ尊重」などへと大きく舵を切る端緒だと位置づけるべきである。問題が起こるたびに、その観点から議論があってしかるべきだろう。

繰り返しになるが、「投手の障害予防に関する有識者会議」は、高校野球や少年野球の現場で何が起こっているか? 野球選手の「健康障害」の実態はどういうものなのか? 世界の少年野球の健康管理はどういう趨勢なのか? などの情報を出席者が共有したうえで行う必要がある。

東京オリンピックまでに結論も

そして会議の期間は最長で1年にすべきだろう。来春の選抜高校野球からは、「球数制限」などの新しい制度を取り入れてほしい。

来年は、東京オリンピックが開催される。世界から多くのスポーツファンやスポーツジャーナリストが日本を訪れる。彼らの前で昨夏の甲子園のような、見方によっては「虐待」とも受け取られかねないスポーツイベントを繰り広げることが、世界にどんな印象を与えるかについても考える必要があるだろう。

鈴木大地スポーツ庁長官が球数制限について「若い人の障害予防の観点から好ましい」と述べている。

ただ、野球関係者の中には「野球をやったこともない人たちが勝手なことを言っている」と感情的になっている人もいるようだ。

「野球」は選手や指導者だけのものではない。野球関係者が「やるべき改革」を十分に推進できないのであれば、「野球をやったこともない人たち」も参加して、未来志向の改革を行うタイミングにさしかかっている。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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